キリンHD「ペットボトルの新規薄膜形成技術」受賞
執筆者:shirai
キリンホールディングスのパッケージイノベーション研究所は、環境に配慮したパッケージとして、「ホットワイヤーCVD装置によるペットボトルの新規薄膜形成技術」を開発。この開発成果が評価され、2021年1月7日に、世界包装機構(WPO:World Packaging Organization)が主催する「ワールドスター2021コンテスト」の飲料(Beverages)部門で「ワールドスター賞」を受賞した。また、同技術は、2020年11月11日に米国ダウ社が主催する「ダウ 2020年度パッケージングイノベーションアワード」で発表された「ダイヤモンド賞ファイナリスト」にも選ばれている。同社のパッケージイノベーション研究所は包装容器を専門に開発しており、これまで、ビールびん(リターナブル)の軽量化、アルミ缶の“缶ぶた”の小型化、国内最軽量の2リットルペットボトルなど、環境に配慮したさまざまな容器を業界に先駆けて開発。このたび、「ワールドスター賞」および「ダイヤモンド賞ファイナリスト」に輝いた「ペットボトルの新規薄膜形成技術」は、2020年9月には「第44回木下賞」も受賞している。近年、環境への配慮から、ペットボトルを薄くし軽量化する技術の開発が進められているが、薄いペットボトルは酸素や炭酸ガス、水蒸気を透過しやすいため、飲料の内容液の酸化や劣化のリスクがあり、軽量化には限界があった。一方、酸素などの透過を抑えるさまざまなガスバリア技術が実用化されているものの、ボトルの透明性が損なわれたり、充填可能な飲料が限られたり、リサイクルが困難になるなどの課題があった。同社が開発した「ホットワイヤーCVD装置によるペットボトルの新規薄膜形成技術」は、特殊なセラミック棒を使うことで、酸素などの透過を防ぐ薄い膜をボトル内面に形成する技で、膜原料の種類や薄膜形成条件を工夫することで、無色透明かつさまざまな飲料の充填が可能になったいる。PETボトルリサイクル推進協議会の「指定PETボトルの自主設計ガイドライン」にも適合したリサイクル可能なペットボトルであり、環境負荷の低減を両立。これらの特長から、この技術の活用により、内容液によらないこれまで以上のペットボトル軽量化の実現が期待される。■業績表題:「ホットワイヤーCVD装置によるペットボトルの新規薄膜形成技術」 ■関連論文:Impact of hot wire and material gas species on the Cat-CVD coating of gas barrier SiOC thin films onto PET bottles Surface and Coatings Technology, Volume 344, 25 June 2018, Pages 21-29 ■受賞名:①ワールドスター2021 コンテスト(WORLDSTAR Packaging Awards 2021) ワールドスター賞(WORLDSTAR winners) ②ダウ 2020年度パッケージングイノベーションアワード(Dow Packaging Innovation Awards 2020) ダイヤモンド賞ファイナリスト(Diamond Finalists) ■発表日:①2021年1月7日(木) ②2020年11月11日(水) ■受賞者:①キリンホールディングス株式会社/三菱ケミカル株式会社 ②キリンホールディングス株式会社