健康ニュース 7月1日号 海老天の色が赤色なのは
隣家のインテリ夫人「夕飯に海老をてんぷらにしていたところ、子供が灰色だった海老がなぜ赤くなるの?と聞いてきました。熱いお風呂に入ると体が赤くなるでしょう。海老も熱過ぎて赤くなるのではないかなぁと言ったら納得顔をしていましたわ。子供の観察力はすごいですね」
隠居中の大御所 暈 穀菜「子供の観察力が素晴らしいのは間違いないね。そういう質問を受けた時は、何でだろうと、後で一緒に調べてみましょうね、と言わないとだめだよ。そんなジョークっぽい答えは教育上も良くないな」
隣家のインテリ夫人「そうですね。私自身良くないなぁって思っていました。でもなぜ赤くなるかの知識がなくて・・・。どうやって調べると良いでしょうか?」
隠居中の大御所 暈 穀菜「魚の不思議という本がある。
それによると、調理前の海老の色は少しくすんだ暗めの色をしているが、加熱によって赤く変色するのはアスタキサンチンという色素が関係している、とあるよ。アスタキサンチンは、加熱前にはたんぱく質と結合して灰色っぽいが、加熱によりたんぱく質が分離され赤くなるというわけだ。アスタキサンチン自身は元来赤色の色素のため、加熱により赤くなったというよりも、元の色に戻ったといった方が良いかもしれないね」
隣家のインテリ夫人「よく分かりましたわ」
理隠居中の大御所 暈 穀菜「分かっただと・・・では質問してみようかね。海老は生まれながらにしてアスタキサンチンという色素を持っているの?と質問されたら何と答える?」
隣家のインテリ夫人「・・・」
理隠居中の大御所 暈 穀菜「分かっていないよね。海老が普段口にする餌の蓄積がアスタキサンチンを作っているのだよ。それは海に幅広く存在するヘマトコッカスという藻の一種で、このヘマトコッカスがアスタキサンチンを生成しているのだね。もっと詳しく言うと、このヘマトコッカスを餌としているのがプランクトンで、そのプランクトンを食べた海老が過熱により赤くなるということだ。海洋の連鎖反応と言えるね」
隣家のインテリ夫人「子供の前で海老天を作るだけで凄い教育の場になるのですね。素晴らしいですわ!」
理隠居中の大御所 暈 穀菜「子供の興味をもっと大きく広げるためには関連話題もあった方が良いね。例えば、タコが茹でるとなぜ赤くなるのか、ということもね」
隣家のインテリ夫人「アスタキサンチンではないのですか?」
理隠居中の大御所 暈 穀菜「タコは海老とは異なる餌のため、アスタキサンチンの影響ではない。タコの持っている紫黒色、赤褐色、黄色の色素と関連しているらしいが、正確な根拠はまだ未解明ということだ。タコの話が出たついでに聞いておくれ。タコの雄と雌の見分け方は分かるかな。一般的に雌のほうが美味しいといわれているから知っておいて損はしないよ」
隣家のインテリ夫人「タコの雄と雌の見分け方?考えたこともないです」
理隠居中の大御所 暈 穀菜「8本の足についている吸盤で見分けるのだよ。吸盤が大きめでバラバラなのが雄。小さめで整然として並んでいるのが雌と専門家は見分けている。魚屋でタコを買う時の参考になるだろう。もうひとつクイズだ。生きているタコの手足から手を見つける方法を知っているかな?」
隣家のインテリ夫人「・・・。考えたこともありません」
理隠居中の大御所 暈 穀菜「少しは考えなさい。生きているタコの頭をひっぱたくとタコは、痛い!と手で頭を守ろうとするはずだ。それがタコの手だ!そうだ!タコ焼きを買ってあるからそれを肴に冷えたビールを飲もう!」
隣家のインテリ夫人「・・・。負けましたわ(笑)」