矢野経「2022年、23年酒類市場 回復傾向」
執筆者:編集部
矢野経済研究所によると2022年度の酒類総市場は、メーカー出荷金額ベースで前年比104.0%の3兆2,350億円と、2013年度以来9年振りに前年増となった。市場が拡大に転じた主な要因は業務用需要の回復とみられ、新型コロナウイルス感染症対策のまん延防止など重点措置が解除されて以後、飲食店における酒類提供制限がなくなった。一方、コロナ禍における巣ごもり需要により拡大してきた家庭用消費は、外出時の飲食機会の増加により減速傾向となった。拡大が続いてきた低アルコール飲料は15年振りに縮小、2023年の酒税法改定で各社が販促を強化してきたビールの反動を受け、相対的に注力度が下がる新ジャンルビールなど家庭用比率が高いカテゴリーは特に苦戦を強いられた。2022年度のノンアルコールビールテイスト飲料(ノンアルビール飲料)の市場規模は、2009年の登場以来、初の縮小に転じたとみられる。コロナ禍で健康志向がより高まったことで、2021年度が前年度比2桁増と大きく拡大した。市場は依然として拡大基調にある。