健康ニュース 8月1日号 味覚色々

     

隣家のインテリ夫人「友人が料理教室を開いたので行ってきました。私の知らないことがたくさんあって面白かったですわ。うま味というのは日本から生まれたといっていましたが、先生はご存知でしたか」 

隠居中の大御所暈 穀菜「うま味ね・・・。今では世界の料理関係者は知っているよ。特に西洋人の味覚というものは、甘・酸・塩辛い・ピリッと辛いという4つしか考えられていなかったので、うま味という味を知ったときは衝撃だったらしいな。ところで料理の世界の五味を知っているかな」 

隣家のインテリ夫人「そう言われると思ってメモしてきましたわ。甘味・うま味・塩味・酸味・苦味で正解ですよね」 

隠居中の大御所暈 穀菜「良くできました。ところでそれらの味の特徴は言えるかな?甘み、うま味、苦み、この三つは舌に残りやすいという特徴がある。一方塩味と酸味は残りにくい性質がある.口中では唾液がすぐ出て中和されるのだね」 

隣家のインテリ夫人「へぇ…、そうだったのですか。初めて知りましたわ」 

隠居中の大御所暈 穀菜「ではついでに君の知らないことを話しておこう。君が今日知った五味は、最近言われ始めた五味だよ。歴史的に昔から言われている五味がある。料理の世界でなく健康に関してだがね。甘・酸・苦・辛・鹹を五味と言っている。鹹は塩辛いという意味だ。この五味は東洋医学などの世界で使われており、それぞれの味が、人間が生存していくために欠かせない深い意味をもっているので知っておいても損はしないぞ」 

隣家のインテリ夫人「興味ありますわ。教えてください」 

隠居中の大御所暈 穀菜「今日はやけに素直だな。では説明しよう。甘味は疲労回復とか頭を明晰にするために欠かせないのだ。疲れた時に甘いものを欲しがるとか、脳の栄養素としてブドウ糖が必要という例などが当たるね。酸味は食べ物が腐ってないかどうかを知るための味覚だ。もちろん現代人の好む発酵食品などは酸という味覚の究極の味と言える。苦味は、手にした食べ物が毒物かどうかを判断するためのものだ。辛味は体温を上げるという役目があるのだね。今でも寒い時期には唐辛子の入った鍋料理などを食べるとか、辛いラーメンなどで体を温めることがあるだろう。さて鹹というのは塩辛いという意味だ。塩を取らないと人間はもとよりどんな生物も生存できないということは理解しているね。鹹味を摂って体内の血液の生理濃度などの調整をするのだよ。熱中症予防には水分補給だけでなくナトリウムの含まれた水分でないとダメというのもなんとなく分かる気がするだろう。日本人の祖先は、昔から味覚を生活に生かしていたのだな。この五味にうま味を加えて、六味といわれることもあるから知っておくと良いよ。ちなみに中国人の味覚の世界は、先ほど言った西洋人の四味に苦を加えた五味といわれている。世界中で日本料理フアンが増えるのも、幅広い味の世界を知り始めマスターしようとしているからかもしれないな」 

隣家のインテリ夫人「勉強になりますね。味覚のことは、学生時代に学んだ舌の味覚地図ぐらいしか知識としてなかったですわ」 

隠居中の大御所暈 穀菜「その味覚地図だが、和田有史先生が、《ゑれきてる 特集 味覚と食》の談話記事として、教科書などに記載されている舌の味覚地図の説は実際とかなり違うと述べている。なぜ味覚地図が信じられるようになったのかは分からないそうだ。それはそれとして、日も沈んだから一杯始めよう。美味い冷酒にはどんな味の肴が合うかよく考えて作ってもらいたいね」

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