月桂冠「日本酒の香りによるリラックス効果」確認

      執筆者:motoe

月桂冠(社長・大倉治彦、本社・京都市伏見区)の総合研究所は、日本酒のフルーティな香りの主要な成分である「カプロン酸エチル」や「酢酸イソアミル」を嗅ぐと、ヒトの心と体にリラックス効果(鎮静効果)をもたらすことを、筑波大大学院 矢田幸博教授の技術指導のもと、ヒトに対する有効性評価試験で明らかにした。この発見は、世界初の成果なる。日本酒の香りは様々な成分で構成されているが、中でも酵母によって作られる果物や花のような香りは、「吟醸香」(ぎんじょうか)として人々を魅了しているが、吟醸香の主要な成分としては、リンゴのような華やかな香りの「カプロン酸エチル」と、バナナのような芳醇な香りの「酢酸イソアミル」が知られている。月桂冠総合研究所では今回、これら吟醸香の成分を嗅ぐことでヒトにもたらされる効果を検証。成人女性18人分の試験データを解析したところ、吟醸香にはストレスや不安などの感情を抑える心理的な効果と、安静時に働く副交感神経活動を優位にする生理的な効果があることが確認された。本試験の結果から、日本酒における吟醸香の存在が、高い嗜好性とあわせて、ヒトの心と体に高いリラックス効果(鎮静効果)をもたらしていることが明らかにされ、香りのよい日本酒が人々に好まれる理由の一つとして、このような吟醸香のリラックス効果が発揮され、日本酒の香りを楽しむことで心身のリラックスが期待できるためと推察されるという。今回の研究成果を生かして、同社では、今後、吟醸香の高い新たな日本酒の開発はもちろん、ストレスの緩和や心身の安定など、日常生活に癒しを提供する手段としても日本酒の香りの応用を検討していきたいとしている。