キリンHD「無菌培養技術」で技術賞受賞
執筆者:shirai
キリンホールディングスは、日本ブドウ・ワイン学会2025年大会(11月7~8日開催)において、「無菌培養植物によるブドウべと病菌の継代培養技術確立」が「技術賞」を受賞した。同社は、ブドウの主要病害である「べと病菌」が生きた宿主細胞でしか生育できない絶対寄生菌であることから、従来の人工培地を用いた薬剤耐性検定が困難であるという課題に着目。独自の植物無菌培養技術を応用し、無菌状態のブドウを用いた通年評価可能な生物検定法を開発した。これにより、非感染葉の維持管理が不要となり、ブドウの葉が入手しづらい時期でも薬剤評価を実施できるようになった。さらに、べと病菌の凍結保管および継代技術の確立により、圃場ごとの菌特性に応じた精密な農薬選定が可能に。本技術は2025年3月よりシャトー・メルシャン圃場で実用化され、健全なブドウ栽培に活用されている。日本ブドウ・ワイン学会(ASEV JAPAN)は1984年創設。ブドウ・ワインに関する研究・技術の発展を目的に、学会誌の発行や国際交流を推進している。技術賞は、日本のブドウ・ワイン産業の技術的発展に顕著な業績を上げた者に授与される。