第967話 握鮨への道

      2026/02/15  

【隅田川 江戸食文化圏 -1

  小名木川に架る高橋を渡って、深川高橋夜店通りを行くと「やよい寿司」があります。この店では、江戸末期の《握鮨》を再現していると聞いていましたので、訪れました。

 拝見しますと、なるほど煮切りに漬けたネタは、現在の握鮨とは明らかに違います。ただ大きさは食べやすいように今風と同じにしてありますが、江戸末期にはもっと大きかったようです。この煮切りは銚子の濃口醤油、味醂、酒、そして当時広まっていた半田(愛知県)の粕酢(赤酢)が鮓飯とよく合ったといいますが、その具合が店によって違っていたので、味も各々個性があったのでしょう。
 それにしても、いま琵琶湖名産となっている「鮒鮓」を代表とする《熟鮨》が、《早鮓》となり、そして《新早鮓=握鮨》に目まぐるしく変化したのが驚きです。
 この《新早鮓》を開発し、名前も《握鮨》としてのは、両国橋近くで屋台売をやっていた輿兵衛という人だつたと伝えられています。
 一言申し上げますが、この鮨は美味しいです。といいますか、味わい深い味です。

 ここで注目すべきことは、江戸料理、江戸のざる蕎麦、江戸前の鰻丼、江戸前の握鮨、江戸前の天麩羅などの江戸食が競ったように商品開発を行っており、その様は、一つひとつが輝きを放つ星座のごとしです。しかもそれは隅田川畔で起きていたことです。
 これを私は「隅田川 江戸食文化」と称しています。

写真は上右:鮒鮓(「ここ滋賀」)、上左:やよい寿司の再現握鮨、下右:同じく再現握鮨、下左:自宅の手前鮨

江戸ソバリエ協会
ほし☆ひかる