第335話 節分蕎麦

     

浮立面

11月末~12月初のころは、よく「年越蕎麦」の由来について問合がくるが、今回は珍しく「節分蕎麦について教えてほしい」との連絡が新潟のテレビ局から入った。
そんなことから、ここでちょっと真面目に述べてみよう。

「節分」とは気候の変る境目のことで、翌日から立春、立夏、立秋、立冬となる。日本人は「立つ」という言葉を好み、「蕎麦は三立て」とか、立身、立志、立派、立案など前向きな言葉に「立」の字を使う。
「節分蕎麦」は、前日に清めの蕎麦を食べることをさすが、本来はこれを「年越蕎麦」といい、大晦日だけは「大晦日蕎麦」といっていた。今は一般的に、大晦日に食べる蕎麦を「年越蕎麦」、立春の前日に食べる蕎麦を「節分蕎麦」とよんでいる。

こんな風にお答えしたところ、「そのことを何に記してある? とくに【立つ】の話は面白い。資料をお借りしたい」とのことだったので、「植原路郎『蕎麦辞典』と新島繁『蕎麦歳時記』は送るけれど、【立つ】は私の持論であって、ある雑誌に連載している『風の日記』シリーズの中に書いている」と申し上げたら、「その雑誌も送ってほしい」ということになった。
たぶん、そうした資料をもとにある蕎麦屋さんで撮影し、2月3日に放映されるのだろう。

そんなとき、麻布の蕎麦屋「祈年」でアルバイトをしているという、ある若いソバリエさんと話していたら、2月4日が誕生日だという。
まさにテレビ局からの問合の日だったから、「君のバースデイ・イブ(2月3日)は節分蕎麦といって、昔は蕎麦を食べていたんだ。そしてその翌日の2月4日 (君の誕生日)から春になる。だから、2月3日は世間では節分蕎麦だけど、君にとってはバースデイ・イブ蕎麦だね。」みたいなことを話したら、蕎麦好きだけに自分がお蕎麦と縁のある日に生まれたことをたいへん喜んでいた。
こんな話はソバリエだから通じる話だろう!

参考:ほしひかる筆『風の日記』―「立つ」、植原路郎『蕎麦辞典』、新島繁『蕎麦歳時記』、「新潟一番 サンデープラス」(TeNYテレビ新潟平成28年1月31日)

〔江戸ソバリエ認定委員長 ☆ ほしひかる〕