第124話 第25回深大寺蕎麦を味わう集い
お国そば物語⑩深大寺蕎麦
「武蔵野の水と緑と寺と蕎麦」の文句で知られる深大寺では、毎年暮の12/24に「深大寺蕎麦を味わう集い」が開催される。
始まりは、蕎麦通の間でよく知られている『蕎麦全書』で讃えられた深大寺蕎麦が、近代では廃れてしまっている現状に、ご住職の張堂さんや「蕎麦ごちそう 門前」の浅田さんたちが「何とかしたい」と立ち上がってからである。
皆さんは「一味会」を結成し、深大寺地区に蕎麦を栽培した。以来、深大寺蕎麦は復活し、「味わう集い」も今年で25回目となった。
私が、深大寺をお訪ねするようになったのは、当時勤務していた会社に「門前」の姪御さんがいらっしゃったご縁で浅田さんを訪ねてからである。
お蔭で、数年後の第18回の「集い」から参加させていただけるようになり、今年で8回目となる。
その席で頂けるのは深大寺蕎麦は当然であるが、蕎麦をさらに美味しくさせる薬味が素晴らしい。その薬味とはご住職やゲストの皆さんの巧みな話術である。毎年、部屋に笑いが渦巻く。蕎麦(ルチン)と笑い、まさに健康そのものではないか。
おまけに参加すると翌年の十二支の、深大寺窯の土鈴がお土産としていただけることになっているが、これがまた楽しみだ。
これまで私は第18回(酉歳)、19回(戌)、20回(亥)、21回(子)、22回(丑)、23回(寅)、24回(卯)、25回(辰)、の八支を頂いた。だから、あと巳、午、未、申が揃えば十二支が勢揃いする。
そして、この会のもうひとつのポイントは開催日が12/24ということである。お蔭さまで、私の蕎麦の一年を振り返る機会になる。
それで、平成23年の蕎麦暦はどうであったか!
江戸ソバリエ協会としては、2月に第8回目の認定講座を開き 6月に認定式を開催することができた。
定期的な催事も行ったり参加させてもらったり、さらには『江戸蕎麦めぐり。』(幹書房)を上梓し、執筆、講演、テレビ出演の機会にも恵まれた。とくに駄文ながら「蕎麦談義」としてフードボイスのブログへの寄稿も100本を越えた。
個人的な体験としては、中国麺紀行があったことは大きかった。食についてグローバルな体験をすることは楽しいし、大変勉強になる。その思いをかつてサンフランシスコに行ったときは「水の国から火の国へ」(『蕎麦春秋』誌VOL.2)を掲載させていただき、今回もまた「麺をもって天となす」(『蕎麦春秋』誌VOL.20)を載せていただいた。
そして最後には、東京都麺類協同組合創立百周年記念式典において感謝状を頂戴した。もちろん創立百周年だから組合の方々が主たる表彰者であり、われわれはオマケ、とくに私ごときはそのまた端っこであることは承知しているが、それでも選に入れていただいたことはありがたいことであると思っている。
これも1200名を越える江戸ソバリエの皆様と江戸ソバリエ事業を応援してくださっている多くの方々あってのことだと感謝の念にたえない。
これが平成23年12月24日の、私の蕎麦の味である。
参考:お国そば物語(第121、120、119、118、89、66、48、44、42、249、7話)、うち深大寺蕎麦(第48、9、7話)、「水の国から火の国へ」(『蕎麦春秋』誌VOL.2)
http://www.edosobalier-kyokai.jp/kokkyou/ko_hoshi_syunjuu.pdf
♪ 江戸ソバリエは東京の蕎麦「深大寺蕎麦」を応援しています。
〔江戸ソバリエ認定委員長、エッセイスト ☆ ほしひかる〕