神奈川県生協連「 木下長義会長理事新年挨拶」

      執筆者:編集部

kinosita新年明けましておめでとうございます。今日まで生協の活動を支えご指導を頂いた皆さまに改めて深く御礼を申し上げます。

協同組合は19世紀にヨーロッパで始まり世界各地に広がりました。日本に協同組合が生まれるのは近代化が図られる明治以降にはなりますが、江戸時代における大原幽学や、郷土神奈川が生んだ二宮尊徳や安居院庄七(あぐい しょうしち)の先駆的な実践活動を忘れてはなりません。安居院庄七には、「乱杭の長し短し人こころ 七に三たし五に五たすの十」という有名な言葉があります。人の思い思いの考え方や知識はいろいろありますが、お互いが助け合って、万全なものにしなければならない、ということです。一昨年の2012年は国連が定めた国際協同組合年でした。ICA・国際協同組合同盟は昨年10月に「協同組合の10年計画」を決定し、経済・社会・環境の持続可能性を高めることにおいて協同組合がリーダーシップを発揮することを目標に掲げ、新たな挑戦を提起しました。私たちも、国際協同組合年の取り組みを契機として相互扶助・共存共栄の精神で力を合わせることにより、「共に助け合って、誰もが安心してくらせる社会」に向かって確信をもって進んでいきたいと考えます。さていま私たちはどのような時代に立っているのでしょうか。どのような社会に生きているのでしょうか。なぜこれほどまでに格差が拡大し、貧困が固定化されてしまったのでしょうか。現在の貧困は「経済の貧困」と「関係の貧困」の2つで構成されているように思われます。市場経済至上・拝金主義が蔓延し、実態経済とはかけ離れた金融経済が社会を動かした結果、社会の不安定化が許容限度を超え、社会の持続性そのものが問われるようになってしまいました。これ以上の貧困・格差・分断・孤立の拡大を座視している訳にはいきません。これからの時代は、「他者とともに生きていく」事を真剣に考える必要があると思います。人と人との関係が希薄となり、心のつながりや思いやりが実感しにくくなっている今こそ、協同している者同士だけでなく、表からは見えにくくなっている弱い立場の人々の存在に気付き、ともに生きていこうとする事が大切です。「すぐそばに困っている人がいるかもしれない」そのような気遣いを大切にし、人々の暮らしの不安を少しでも安心に変えるためにも、人に寄り添い、新たな協同の価値を創造していく活動や事業に取り組んでまいります。「一人は万人のために 万人は一人のために」誰もが安心して暮らせる社会を築くこと、それが生協運動の理想です。「助け合いのこころ」、それが、みんなで力を合わせて作った生協の精神です。

これからもご支援ご指導を頂きがんばってまいりますのでどうかよろしくお願いいたします。