矢野経済研究所「太陽光利用型植物工場運営事業市場調査」
執筆者:編集部
矢野経済研究所は国内の完全人工光型、太陽光・人工光併用型(以下、併用型)、太陽光利用型植物工場運営事業市場の調査を実施した。調査期間は2013年7月~12月、調査対象は完全人工光、併用型、太陽光利用型植物工場運営企業(作物の販売事業を目的に植物工場を運営している企業のみを対象)。調査方法は専門研究員による直接面談、電話・e-mailなどによるヒアリング調査および文献調査併用。植物工場は、施設内の光、CO2濃度、培養液などの環境を人工的に制御し、周年・計画生産を行うことができる施設である。植物工場には完全密閉された空間で人工光を利用する完全人工光型植物工場と、施設内で太陽光を利用しながら人工光で補光する太陽光・人工光併用型植物工場、また人工光を導入していない太陽光利用型植物工場がある。本調査の植物工場運営事業市場とは国内の植物工場で生産販売された作物の市場規模であり、国内流通量を出荷金額ベースにて算出している。調査結果サマリー、2013年国内植物工場運営事業市場規模は完全人工光型33億9600万円、併用型及び太陽光利用型199億1900万円の見込。2025年、国内植物工場運営事業市場規模は完全人工光型443億3800万円、併用型及び太陽光利用型1056億9000万円を予測。今後、完全人工光型はLED植物工場の本格普及、機能性野菜市場の進展を経て、2020年以降に生薬、医薬品原料など超高付加価値製品市場の発展期に入る。太陽光利用型は民間参入企業の大規模工場の建設、また、併用型は太陽光利用型工場への人工光導入による補光の普及に伴い、市場は拡大すると予測する。植物工場の更なる発展には高騰するエネルギーコストに対する課題解決が重要である。民間企業の積極的な参入が見込まれるなか、植物工場向けの省エネ・創エネシステムの開発、植物工場のキーテクノロジーである照明や空調、日本の環境に適合した独自の環境制御システムなどのさらなる技術開発、低コスト化、生育コントロールによる高付加価値化などによる市場発展が期待される。