鮮客萬来(人間交流の社交場) {九夜}
執筆者:編集部
《外食交友語録》~仕事一途の人生観~ (肩書は当時のまま)
【42】日本料飲コンサルタンツ=村さ来〈清宮 勝一社長〉
「従来の“赤ちょうちん”と言われる飲み屋はイメージが悪くなりがちですが、それとの差別化を行ったのはうちが一番初めでしょう。プライスは一杯飲み屋並みで、店作りは“ふるさと”のイメージを持たせたノスタルジックなものですね。最近では他社でも数多くメニュー化している“串焼き”をうちのメインメニューとし、それを武器に新しい分野を切り開いたわけです。」
「とにかく“安い料金”で飲んで食べてもらおうというのが理想です。それに“ムード”ですね。ヤングが中心の客層ですが、女性の方でも抵抗なく入れるということも、うちの店の大きな特色でしょう。これからは“本物志向”の時代に入っていきますから、料理も今よりもさらにグレードアップさせていきたいと思っています。」
【43】ユニ・ピーアール=クレープハウス・ユニ〈嶋川 弘代表取締役〉
「80年代に入ってファストフードも、今まで以上にファッション性が要求されてきます。クレープを如何に定着させるかということで、この80年代への路線として従来の『ハウススタイル』と並行して『レストランスタイル』を推進しています。健康的な明るい店作りを狙い、メニューも“アントレ・クレープ”をロープライスで提供します。」
「競合を避けた形での出店、多店舗化を推し進めたいと思っています。無意味な競合はよくないですね。あくまでクレープそのものを普及させ、クレープ人口を増やすための努力、セールスプロモーション活動をしていきたいと思っています。王子駅前の店舗は、マクドナルドさんとサーティーワンさんに挟まれた立地ですが、商品が違いますし、来店動機も違ってきますから、競合はないと思っています。」
【44】鮒忠〈根本 修司代表取締役〉
「いつの時代でも同じですが、飲食業の原点はやはり“味”ですね。そしてプライス・ムードを含めた“サービス”ということになると思います。今まではそれが逆だったようですね。これからの時代は競合も、より厳しくなると思います。それも同業の中だけではありません。消費者の楽しみ方も旅や音楽というように、食べることだけではなくなってきています。飲食がレジャー化していますし、これからはさらに厳しくなると思っています。」
「当社の場合、メニューを多様化するか絞り込むか、ということになれば後者になります。例えば、『食堂、居酒屋、テイクアウト』など業態により、分けて出店するパターンになります。お客様が自由に店を選ぶ時代になっていますから、こちらもその時々のニーズに応えて出店していくということです。」
「私たちの商品構成からも言えることですが、“地域密着型”なんですね。店舗展開を始める当初からそれは考えていました。顧客ターゲットとして狙うのは“大衆”ですから商圏は狭くても可能です。これからは、“チャンスを逃さない”ということです。売れ筋メニューをピックアップすることや、新しいメニューを売り出す時など特にそうですね。」
【45】つばめ=つばめグリル〈石倉 悠吉専務取締役〉
「うちの店のテーマはもちろん“本店”にあります。サラリーマンやOLの3人~4人位のグループが、ビールやウイスキーなどを傾けて楽しく食事をする、そんな気楽さがポリシーなんですね。食事とお酒で楽しいテーブルタイムを作ってもらうということですね。」
「料理はオリジナルの『ハンブルグステーキ(ハンバーグ)』中心のドイツ料理です。メニューもデザインもオーソドックスな店作りをしていくつもりです。お客様にとって店に安心感があることが肝心で、手ごろな価格で食事とお酒を楽しんでいただければと思っています。立地もおのずと限られてきます。サラリーマンやOLが仕事を終えて、帰りにちょっと一杯やりながら食事をするには、やはりターミナルに近い立地ということになります。そうなると交通機関の集中しているところが好立地になります。」
【46】鮒忠〈江口 春雄常務・営業本部長〉
「飲食店では出来ないキメ細かなところまでやれるーーというのが根本であり、“仕出し”の基本と考えています。同時にお客様が今、何を求めているのかーーというニーズを的確に、素早くキャッチすることが課題と捉えています。言わば、“家庭の主婦”直結の商売と言えるのではないでしょうか。」
「当社では“仕出し弁当”ひとつをとってみても、工場出荷時の状態は最高ですが、お客様が食べるのは持ち帰り後、つまり一時間後ですから、その一時間後に最高の状態で食べていただけるように焦点を合わせて作っています。このように『販売と料理の味』を同一の物として捉えることに全力を上げております。それが『弁当食』の差別化につながると思いますし、その味と品質、衛生面、安全性を根本に考えて提供することが一番と考えています。」