神奈川県生協連 當具伸一会長理事 年頭挨拶
執筆者:編集部
新年あけましておめでとうございます。今日まで生活協同組合の運動を支えて下さった皆さまに心より御礼を申し上げます。私ども神奈川県生協連の歴史は1945年まで遡ります。現在の日本生活協同組合連合会の前身である日本協同組合同盟(会長:賀川豊彦)が設立されたのは1945年11月18日。翌月12月6日にはその神奈川支部が設立されています。川崎市では1946年7月6日に地域・職域一体となった川崎生協創立総会が市議会会議場で開かれ、横浜では1947年5月のメーデーで「全市一本の生協設立」が決議され9月28日に横浜生協が誕生、横須賀でも10月に横須賀生協が設立されました。食糧難・インフレ・物価上昇から生活を防衛するために生協を作ろうとする機運が高まる中、1946年7月1日に産業組合法に基づき県生協連が25生協の参加で設立されました。当時は、米、味噌、醤油、衣料品など生活必需品48品目が統制下の割当配給切符制度時代。県生協連は塩干物、衣料品、鮮魚や野菜の荷受権を取得し、会員生協に配給していました。消費生活協同組合法が制定されたのを機に、改めて1950年12月18日に16会員生協をもって横浜市山下町の日赤会館講堂で設立総会を開き、現在の県生協連が誕生しました。産業組合法の時代から71年、生協法の下で67年の間、大過なく生協活動をすすめることができましたことを改めて深く皆さまに感謝いたします。
さて、東日本大震災から間もなく6年が経過しようとしております。被災者のくらし再建は長い年月を必要としています。これからも継続的な支援活動をすすめてまいります。また自然災害が多発しています。自然災害を防ぐ事はできませんが、その被害を減らすことはできます。大切な課題としてすすめてまいります。昨年は県内の協同組合提携が正式に始まって30年でした。これからも「すみよい神奈川づくり」を共通認識として、公正社会の実現をめざす非営利協同のつながりを大切に発展させていく所存です。国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は11 月30 日、エチオピアのアディスアベバで開催された無形文化遺産保護条約第11回政府間委員会において、「共通の利益の実現のために協同組合を組織するという思想と実践」のユネスコ無形文化遺産への登録を決定しました。決定にあたり協同組合を、「共通の利益と価値を通じてコミュニティづくりを行うことができる組織であり、雇用の創出や高齢者支援から都市の活性化や再生可能エネルギープロジェクトまで、さまざまな社会的な問題への創意工夫あふれる解決策を編み出している」としました。これは、国際労働機関(ILO)が、「協同組合は人を中心に据え、価値に導かれる組合員が所有する事業として平等を促進してきた長い伝統があり、生産性と収入を生む将来性のある企業モデルを形成しているだけでなく、性、年齢、人種、民族性、性的指向、差違ある能力に基づく社会的不平等、差別、排除に取り組むことを手助けする格好の位置に存在しており、すべての人のディーセント・ワークの実現に効果的な手段」と評価していること。そして、国連が2012年を国際協同組合年と議決した理由すなわち、「協同組合は女性、若者、高齢者、障害者および先住民族を含むあらゆる人々の経済社会開発への最大限の参加を促し、経済社会開発の主たる要素となりつつあり、貧困の根絶に寄与するものであり、各国に社会開発における協同組合の可能性と貢献への認知度を高め、協同組合の発展を支援することを促した」ことに続く、国際社会からの協同組合の事業と活動への評価と期待に他なりません。ありがたいことです。 全国の生協ではありたい姿を、「私たちは、人と人がつながり、笑顔があふれ、信頼が広がる新しい社会の実現をめざします」(日本生協連)としています。一見困難な課題でも正面から向き合い、協同の力でくらしの中に安心を取り戻していくことこそ社会から求められる生協の使命と考えます。 本年も「一人ひとりが大切にされ、いつまでも安心してくらせる地域社会」「人間らしいくらしの創造と持続可能な社会」づくりに向けて、組合員のくらしに寄り添い、地域社会からの信頼にお応えできるように、より一層の努力をしてまいりますのでよろしくお願い申し上げます。