発泡酒の税制を考える会「飲用動向と税金に関する調査」

      執筆者:shirai

ビール酒造組合と発泡酒の税制を考える会は、「ビール・発泡酒・新ジャンル商品の飲用動向と税金に関する調査」を実施、今年度の調査報告書を作成した。
同調査は、お酒の飲用実態や「ビール」「発泡酒」「新ジャンル商品」にかかる税金に対する意識を把握することを目的として2002年より毎年実施されており、2017年は7月に「ビール」「発泡酒」「新ジャンル商品」の少なくとも1つを飲んでいる 20~69 歳の男女 1,000 人(男性 499 人、女性 501 人)を対象に、アンケート形式での調査が行われた。
お酒の飲み方についての調査では、“家庭でよく飲むお酒”は「ビール」(72.8%)、“家庭で一番よく飲むお酒”も「ビール」(39.1%)でとなっており、中でも若い世代ほど「ビール」を家庭でよく飲む傾向がみられた。
さらに、“外でよく飲むお酒”も「ビール」(66.4%)が 2 位「チューハイ」(28.1%)以下を大きく引き離し、“外で一番よく飲むお酒”も「ビール」(50.8%)が過半数を占め、2 位「チューハイ」(8.2%)以下はいずれも 1 割未満となっていることから、家庭でも外食でも「ビール」が圧倒的な人気を得ていることが分かった。
また、家庭における 1 カ月間の一人あたりの飲酒予算の最多価格帯は「1~3千円未満」(26.5%)で“5千円未満”が半数強(51.9%)を占めており、平均は月「6,033 円」となった。
年代別平均では、60 代(6,670 円)が最多、20 代(4,866 円)が最少で、約2千円(1,804 円)の開き。
また、性別平均では、前回調査と比べて、男性(7,072 円→7,456 円)が増える一方、女性(5,847 円→4,616 円)が大きく減り、男女差は約 3 千円(1,225 円→2,840 円)に広がった。
「ビール」「発泡酒」「新ジャンル商品」の飲用実態の比率は、「ビール」が 8 割(82.5%)を超え、発泡酒(39.6%)、「新ジャンル商品」(57.8%)より多く、過去調査と比較しても、「ビール」が飲用率は微増、飲用量も横ばいなのに対し、「発泡酒」と「新ジャンル商品」は飲用率と飲用量が共に減少傾向にあることが判明。
3 種類を組み合わせた飲用実態でも「ビールのみ」(22.5%→29.4%→32.8%)を飲む人が、過去 3 年間で 10 ポイント以上増加していた。
平成29年度税制改正により、日本のビール・発泡酒・新ジャンル商品の酒税額は、2026年10月に1キロリットルあたり155,000円に一本化されることとなった。
このことについては「詳しく知っている」(9.8%)、「聞いたことはある」(54.0%)を合わせて、認知率は6割強(63.8%)に達している。
この税制改正により、ビールの税率は、1キロリットルあたり65,000円の減税となる一方、発泡酒は20,750円の増税、新ジャンル商品は75,000円もの増税となる。
この点について「とても満足」(16.7%)と「やや満足」(29.8%)は合わせても半数以下(46.5%)でとなっており、「どちらともいえない」(41.9%)が最も多くなっている。
また、税制改正で 350ml 缶あたり約 7 円増税となる「発泡酒」(“不満”38.2%)や約 26 円増税される「新ジャンル商品」(“不満”50.1%)では、不満の声が高まっており、今後の購買動向にも影響を与える可能性が示唆された。
今回の税制改正で36%程度に一本化されるビール系飲料の税負担率について、「思っていたより高い」(51.1%)とする人は過半数に達し、将来的に消費税が引き上げられた場合は、酒税は“減税すべき”という意見が大多数(89.5%)を占めていることがわかった。
この税率は、同じ発泡性酒類に分類される「その他の発泡性酒類」と大きな格差があり、諸外国のビールの税率と比べても高い税率といえ、今回の税制改正後の税率に関して、消費者に不満がある、減税を望む声が根強い点がうかがえた。