【10月号】 1964年東京オリンピックの会場を飾った「菊」を栽培した練馬の農家
執筆者:auc_shonin
前号で1964年の東京オリンピックの事を書いたが、オリンピックを市民レベルで成功させようと、東京の花卉農家が取り組んだ歴史を紹介する。
練馬区の花づくりは、1953年頃、地元の練馬農協が花井園芸部会を作ったことから盛んになった。
優秀な生産者が育ち、「関東・東海花の展覧会」や「日本花井園芸大会」でも優秀な成績を収めるようになった。
1964年4月、当時の都知事は東龍太郎氏。後に東京都知事になつた鈴木俊一氏が副知事だった時代。
正式には東京オリンピック組織委員会から依頼だったが、東京都農林部は、聖火台に駆け上がる階段の両側に菊を置きたいからと、練馬の花卉生産者たちを指導した。
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菊は東京都農業試験場が改良した「ぼさ菊」。
菊は茎の長いのがふつうだが、これからはアパート、マンションの時代になるからと、ベランダにちょっと置けるように開発した菊だ。
その「ぼさ菊」を、「オリンピック開会式当日に五万鉢を、七分咲きで納めるというプロジェクト。
「ぼさ菊」の栽培は、東京都農業改良普及員の指導で始まったが、生産者は大変な苦労だった。
菊は予定通り、聖火台階段の両側と貴賓席、さらに各競技場に飾られた。
期間中の管理として、水をやり等、競技をしている時でも生産者たちは競技場に入って行って菊に水をやったが、競技の方は全然見る余裕がなかったようで、まさに縁の下の力持ちだった。
これは、練馬の農家がボランティアで実施した記念すべき1ページだ。
また、外国のお客さんも見えるからと、農家婦人たちは、百日草、ケイトウ、サルビア、マツバボタンなどで「花いっぱい運動」を展開した。
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