宮崎県「GABA高含有たくあん」の血圧への影響を発表

      執筆者:shirai

宮崎県と宮崎大学、宮崎県干したくあん・漬物研究会は、12月2日、3日に行われた「第22回日本フードファクター学会」にて、共同プロジェクトの研究である「GABA高含有県産天日干したくあんの日常的な摂取が血圧に及ぼす影響」に関する研究発表を行った。干したくあんの原料である干し大根は、宮崎県の伝統的な農産加工食品であり、生産量全国一位(宮崎市田野総合支所農林水産課調べ)を誇る。干したくあんは天日干しの工程において、血管を収縮させる働きのある物質(ノルアドレナリン)の分泌を抑制して血管の収縮を緩和することによる血圧降下作用があることが確認されている「GABA(γ-アミノ酪酸)」の含有量が2週間で約7倍に増加することが分かっていた。これは、干したくあん10gに含まれるGABAが発芽玄米100gに含まれるGABAの量と同等となる。宮崎大学は自然発症高血圧ラットに下漬け干したくあん乾燥粉末を、0.3%含めた食餌(0.002% GABA含有)を与えるという先行研究を実施し、血圧上昇が抑制されることを見出しており、今回の研究は同研究を更に進めたものとなる。今回の実験では、重篤な疾患を有しない正常高血圧(収縮期血圧130~139mmHg、または拡張期血圧85~89mmHg)の日本人を対象に募ったボランティア21名を被験者として、プラセボ群(GABAをほとんど含まない干したくあん 9mg/100g)とGABA高含有干したくあん群(105mg/100g)の2群に分け、8週間、干したくあん25gを朝食時に摂食。試験開始前、摂取後4週および8週目に血圧、各種生理学的検査、生化学検査、血液学検査、食事調査を実施し、比較を行ったところ、たくあん群の収縮期、拡張期の血圧は、摂取前と比較して、それぞれ5.2%、5.4%低下したこことが分かった。このことから、GABA高含有干したくあんの日常的な摂取により、正常高血圧のヒトの血圧を低下できる可能性が示唆された。なお、同県産の干したくあんは、従来の製法から冷蔵保存での製法に切り替えられたことで、血圧上昇を促す要因の一つとして指摘されている塩分が約3.0%に抑えられている。同県産の干したくあんの地域ブランド化をめざし、宮崎県食品開発センターと県内12社の製造業者などが協力して2007年6月に発足した同研究会、および同県、同大学は、今後も同県産天日干したくあんの機能性、および味の向上を研究し、消費者に発信していく。