健康ニュース 1月1日号 40余年前の話を・・・
隣家のインテリ夫人「健康講演を聴いてきました。マクガバン・レポート(以下Mレポートと書く)ってご存知ですか?」
隠居中の大御所暈穀菜「いきなり何を言い出すのだね。どうせくだらない話だろうが。今頃そんなテーマで講演するのは、時代遅れも甚だしいよ。内容は聞かなくても分かるな。和食が健康に良い、と言っていただろう?」
隣家のインテリ夫人「まぁ、やはりご存知でしたか。でも和食って本当に素晴らしいのですね」
隠居中の大御所暈穀菜「和食云々は別として1960年代のアメリカでは、肥満をはじめがんなどの疾病が増え続け、10大死因のうち6つは食生活と関連があるとされた。そこで国として、国民に食事目標を掲げようということになり、その時の議会委員長だったのがマクガバン氏だ。10年近い年月を重ねて発表された内容は、炭水化物の摂取目標、砂糖、塩分の摂取目標値、肉に含まれる飽和脂肪酸とコレステロール摂取目標値などを決めたことだ。講師は、世界中の食事内容を調べた、報告書は5000ページを超えている、肉の飽和脂肪酸摂取を控えろとしたため、食肉業界から猛反対をされ大統領選挙に出馬できなかった、理想的な食事は和食で特に、元禄時代のメニューが理想的などと言っていただろう?」
隣家のインテリ夫人「その通りです。隅っこの方でお聴きになっていたのではないですか?」
隠居中の大御所暈穀菜「そんな講演を聴きに行くほど暇じゃないよ。今言ったことはほとんど都市伝説。信ずるに足りないことばかりだ。最初に言っておきたいことは、発表されたタンパク質・脂質・炭水化物の比率が当時の和食のそれと類似していた。日本の特殊な食事指導団体が、これは和食とそっくりだ、ということでMレポートでは和食を推奨していると言い始めたのだね。中でも大きな間違いは、マクガバン氏は1972年の大統領選に出馬して大敗しているということ。報告書が5000ページになるとか、世界中を調査したなどと言うのは事実と異なる。Mレポートが発表された後に公聴会が開かれた。その広聴会には世界20か国近くから200人を超す研究者たちが意見交換したのだが、それをオーバーに言っているのだろうね。ページ数?報告書1版、2版、公聴会の研究者の意見をまとめたものを合わせても、1000ページにならないと,日本の研究者は発表している。ましてや直接和食などに触れている個所はない。いわんや元禄時代云々は、あり得ないでまかせだね。ある大手通販会社社長が、新聞紙上のドクターとの健康対談で、Mレポートは最も理想的な食事として、伝統的な日本人の食事を挙げていると、聞いたことがありますと言っている。この社長は、自分で確かめず噂を述べているということを暴露しているのだよ。これは悪用の例だね。多分君の聴いてきた講師も、そういう言い方をしていたのではないかな?」
隣家のインテリ夫人「良い勉強をしたと思ったのに、残念ですわ」
隠居中の大御所暈穀菜「アメリカ人のための栄養ガイドライン2015年版が出ているのに、いまさらMレポートでもないだろうね。ではそろそろ一杯始めようか。肴は健康的な和風のものが良いね」