健康ニュース 7月1日号 炭水化物制限の弊害

     

隣家のインテリ夫人「先生、相談に乗って下さいな。娘が今までにない便秘で苦しんでいるのです。病院に行って浣腸でもしてもらいなさい、って言ったところそんな恥ずかしいこと、死んでも嫌だっていうのです。どうしたら良いでしょうか」

隠居中の大御所 暈穀菜「年ごろの娘を持つ親のアドバイスとも思えないな。では親としてわかる範囲で良いから答えてくれるかな。いつごろから便秘が始まったのかな?」

隣家のインテリ夫人「この一カ月ほどとか言っていましたが・・・」

隠居中の大御所暈穀菜「フーン、ではこの一カ月ほどの食事内容に何か変わったことでもないかな。例えば、ご飯やパンを食べる量が極端に減っているとかだけれども・・・」

隣家のインテリ夫人「確かにダイエットをしたいとか言っていました。ご飯を食べる量は減っていますね」

隠居中の大御所暈穀菜「娘さんはテレビの健康番組を熱心に見たり、健康関連雑誌を買って読んでいないかな?」

隣家のインテリ夫人「よく健康番組を見た感想などは言っていますね。でもそれはそれで間違っていないと思いますが・・・」

隠居中の大御所暈穀菜「この親にこの娘ありの見本そのものだな。ワシの想像だが、娘さんはこの春の終わりごろに、肌の露出が多くなる夏場にかけてダイエットをしておこう、水着を着ても見栄えが良くなるようにダイエットしようと思い、食事制限をしているのだよ。特にテレビや週刊誌で報道が多い、炭水化物制限をしてダイエットの目的を果たそうと思っているに違いないよ。心配なら確認しておくがいい。便秘の問題はその後で考えるほうが良いな」

(娘さんと話し合った後)

隣家のインテリ夫人「確かにテレビの健康番組の影響は受けたみたいです。夏に向けてとの先生の指摘がぴったりでした。でも娘が言うには食べる量は減ったが、全く食べないわけではないから、便秘とは関係ない、と言っています。それに野菜も十分食べているから、食物繊維も十分摂っているはずとかも言っています・・・」

隠居中の大御所暈穀菜「やはりそうだったのだね。主食の量を元に戻すように言っておくべきだね。糖尿病など生活習慣病対策としての炭水化物制限はある程度納得できるとしても、美容などを目的としたものは問題ありだよ。ご飯やパンといった主食の量を急に減らしたのが原因だ。炭水化物は糖質と食物繊維で構成されている。それゆえ炭水化物摂取を減らすということは食物繊維摂取も減っているわけだ。ある研究者は、炭水化物摂取制限をやり始めると、およそ一カ月半ぐらいで通じ状態が悪化し始める、と発表している。野菜を食べているというが、主食のパンやご飯の食物繊維に比べるとかなり目減りすることも言ってあげると良いね。また生野菜サラダなどはかなり食べたつもりでも、量的には少ないからね」

隣家のインテリ夫人「よーく分かりました。娘にも分かるように言っておきますわ」

隠居中の大御所暈穀菜「それとね、時々娘さんを見かけるが、太っているとは思わないよ。がりがりのほうが問題だ。もしかしたらお母さんのようにぶよぶよになるのを恐れているのではないかな。ハハハハハ、気にしないでね。そうだ、日も暮れたし冷たいビールでも楽しもう。つまみは食物繊維いっぱいの枝豆が良いだろうね」