第516話 Parasoba

     

町田の病院から、蕎麦打ちボランティアの要請があったので、私も同行させてもらった。集会の題名は「鎌田實先生と蕎麦を食す&蕎麦打ち体験」だった。
会場には、31名が見えたが、そのうちの12名が蕎麦打ち体験を希望された。
ソバリエのスタッフは皆さん優しい人ばかりだった。体験者の中には、視力の弱い人、歩行困難な人も参加されていたのに、動ぜず優しく対応されていた。それらの姿には希望があった。
そして打ち終わった後、病院のスタッフさんがおっしゃるには「体験者の皆さんのお顔の表情はほんとうに豊かだった」とのことだった。
当方のメンバーの一人に「これまで競技(昇段)まっしぐらだった私の心に大きな広がりを与えてくれた」と満足げにおっしゃった方がいた。こうした声は東北の災害にお付き合いしたときなども聞かれた感慨である。
これを端的にいえば、競技は心が鍛えられ、災害・福祉ボランティアは心が広くなる。両者は世界が違うのである。さらには海外文化交流などはまた異なった世界を見せてくれる。
【蕎麦力】というのは様々な形をわれわれに見せてくれるが、どれをどうキャッチするかは自身の問題であると思う。

それにしても、今日の鎌田先生はすごい方だと思った。。
蕎麦打ち体験教室の後、先生は「蕎麦と健康」について楽しく話された。貯筋や口の健康、パタヤ訓練など、話術抜群で皆さん大笑いだった。
その中で、ちゃんとわれわれにも配慮して「ほし理事長、一言どうぞ」と挨拶の機会を与えて頂いた。
さらには、ソバリエのスタッフを労い、鎌田先生とソバリエの懇談時間をとってくださった。これは大事だと思った。協会としても大いに参考にしたいものだ。

〔文 ☆ 江戸ソバリエ協会 ほしひかる