健康ニュース 3月1日号 透析患者と果物・野菜

     

隣家のインテリ夫人「学生時代から親しかった友人のお父様が、透析を受けることになったらしいのです。お母さまが食事をどうしたら良いのかで頭を痛めています。本当に透析をせざるを得ない状態になると大変ですね」

隠居中の大御所 暈穀菜「それは大変だね。確かに今までは、透析患者はカリウム成分の多い野菜や果物はあまり食べないほうが良いと言われていたからね」

隣家のインテリ夫人「先生!今までは・・・っておしゃいましたよね。今も昔も変わらないのではないですか。昔の透析を受ける患者さんと今の患者さんが違うとでもおっしゃるのですか?腎臓が機能しなくて最終的な治療法として透析があるのでしょう?今も昔の透析という治療方法は変わらないと思っていますが・・・」

隠居中の大御所 暈穀菜「その通りだよね。でも最近届いたニュース、メディカルトリビューン(Medical Tribune)では大変興味深いことを伝えているんだよ。今までは血液透析を受けている患者は、体内にカリウムが蓄積する懸念から、野菜、果物の摂取が制限されているのは事実だね。しかしオーストラリア、シドニー大学の研究者が発表した内容に着目しているんだな。それによると、血液透析を受けている患者では野菜と果物の摂取量が少ないこと、でもその中で摂取量が多い患者では、全死因および心血管疾患以外の疾患によるリスクが低下することが分かったというのだよ」

隣家のインテリ夫人「そうですか・・・。だとしたら家族も特別なメニューを考えなくてよいので少しは楽ですね。早速電話でもしてあげようかな・・・」

隠居中の大御所 暈穀菜「早とちりはいけないな。今まで通りの食生活で良いとは一言も言っていないよ。もちろん透析を受けなくちゃいけない状態の程度にもよるからね。透析を受けているから、野菜や果物を極端に制限する食事指導を考え直そうということだから、念を押しておくよ。論文には結論として次のようにも書いてある。透析患者へのカリウム蓄積を防ぐために野菜、果物の摂取を制限する食事ガイダンスは、野菜、果物から得られる利益を透析患者から奪ってしまう可能性がある。今後臨床試験が必要、とね。もちろん健全者と同じように野菜や果物を食べて良いとは言っていないから誤解ないようにしないといけないよ。君のような早とちりがいるから困るんだよね」

隣家のインテリ夫人「幸いにも私の家族には透析を受ける人がいないので安心です。でもお聞きしただけですが、ご本人はもちろん家族もみんなが気を使って大変らしいですね。」

隠居中の大御所 暈穀菜「透析患者は1回に4時間、週に3回透析を受けなくちゃいけないから大変だよね。加えてカリウムだけでなく、水分、塩分、リンなども厳しい制限を受けている。透析という治療を受けなくても済むようにするには、高血圧や糖尿病から腎臓を守ってやることが欠かせない。そのためには食事や運動、休養・ストレス管理する生活が大事だな。そうだ、最近ストレスが溜まっているから、健康管理のために冷酒で軽く一杯やろうかね。つまみは何にするかな・・・。減塩タイプがいいかな」