健康ニュース 4月15日号 1日30品目摂取?!
健康講演の案内が届き、参考になるかなぁという気持ちで聴いてきました。その中で最も気になったのは、再三「健康維持のためには、1日に30品目以上の食品摂取が望ましい。30品目を欠かすようだと、栄養素が不足して健康維持が出来難くなります」と述べられていたことです。
1985年に厚生労働省は、望ましい食生活指針というものを発表。その中では間違いなく「健康のためには1日に30品目の摂取が望ましい」と言っております。
しかし15年後の2000年の食生活指針には、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」ということが発表され、1日30品目摂取という表現は削除されています。30品目摂っている人の多くは、エネルギー(カロリー)、脂質、タンパク質の摂取過剰ということが判明して削除されたのです。それから19年が経過しましたが、今もって「1日30品目摂取は健康の基」という幻は根強く生き残っているのだということを認識しました。
試しにネットで調べてみました。今もって1日30品目摂取を薦めている業者は、サプリメントなどの業者と言っても過言ではないでしょう。
昨年8月、アメリカ心臓病協会が「多品目食べることが、適正体重につながるというエヴィデンスはない」という声明を発表しています。
日本でも、30品目摂取が勧められた直後から、肥満の原因になりかねない、毎日30品目を摂取することは難しいという声は相次ぎました。中にはどうしても30品目を達成させたいという考えから、夕飯時には七味唐辛子を使うとか、十数品目の植物をブレンドした健康茶を飲むといった笑い話に近いことが相次ぎました。
発表から削除までの15年間という長期にわたり、食事指針として揚げられていたわけですから、市民が信じ続けていたとしても、非が問われることはないでしょう。しかし健康情報に関しては詳しいはずの講師が、講演で語るのはいかがなものでしょうか。
小子も末席を汚す健康に関する勉強会で、よく話題になることの一つに「三大根拠のない食に関する説」というものがあります。
その一つに「1日30品目摂取」があります。参考までに他の2つは「酸性食品は体が酸性に傾いてしまうので摂らないほうが良い」と「カルシウム不足はイライラさせる原因となる」です。これら2つについても書いてみます。
「酸性食品は体に悪い」これを信じている方がおられるのでしょうか。食品の酸性とかアルカリ性というものは、食品中のミネラルによって決まります。リンとか硫黄が多いと酸性食品と言い、ナトリウムやカルシウムなどが多いとアルカリ性食品と言います。従って、梅干しの即売会などで語られる「梅干しは酸っぱく酸性食品ですが、体の中でアルカリ性に変わるから健康に良いのです」というのは真っ赤なウソ。こんな薦め方をする業者を信じるのは止めましょう。人の体は常にペーハー7・4に保たれています。酸性食品を食べ過ぎたからと言って、ペーハーが傾くことはありません。この体の機能を体の恒常性と言っています。
「カルシウム不足がイライラの原因」も馬鹿げた話です。血液中のカルシウム濃度が低下すると、カルシウム貯蔵庫の骨からカルシウムが溶出し、血液中のカルシウム濃度は常に一定を保つようにできています。このような説得は、サプリメントなどを売りつけることが目的に違いありません。一笑に付しましょう。