第584話 珍味《ぶっかけ とり'S》

     

江戸ソバリエにウンナンの会という楽しい会がある。代表は平林さん(江戸ソバリエ・ルシック)。「運(ウン)が良ければ何(ナン)とかなる」というところから名付けたというが、「運がなければどうにもならない」ということでもあろうか!? (苦笑)
過日は、江戸ソバリエ北京プロジェクトのご縁で知り合った台湾の方に台湾式《水餃子》をご指導頂いた。
そして先日は、本多恵子さん(江戸ソバリエ・ルシック)の担当で香辛料を駆使した《カリー》だった。
つい私が「カレーと言ったら」、「カレーじゃないヨ、《カリー》だヨ」と笑いながらご指摘された。
調理の途中段階で、香辛料の操作次第では、イタリアン風味にもインディアン風味にもなるということが分かった。それはフランス料理のソースの多様性と似ていた。 ところで、今日は二種類の《カリー》の他にもう一品あった。
それを本多さんは《ぶっかけ とり'S》と名付けていたが、初体験の珍味だったので、本多さんから教えてもらったままの情報で、ご紹介したい。
☆材料
①二八蕎麦・蕎麦つゆ・刻み葱
②地鳥ムネ肉(皮ナシ)・油揚げ・新潟十全茄子を1㎝の角切にする。
③生姜・忍辱を卸す。
④山椒の実(生or醤油漬け)用意。
⑤オリーブ油 ・クミン・ターメリック・レッドパウダー ・ガラムマサラ
☆手順:
①鍋にオリーブ油、クミンを入れ焦げぬように香り付け。
②生姜・忍辱・山椒の実、蕎麦つゆ+水を少しを加える。
③スパイスを入れて8分煮込む。
注)ガラムマサラは最後に入れると香りが立つ。
☆盛付
器に二八蕎麦を盛り、蕎麦つゆ少々を和えて、上に《とり'S》をのせ、刻み葱をかける。

以上だが、決め手は二八蕎麦にあるのかもしれなかった。蕎麦を打ったのは一ノ瀬さん。腕のいい彼がきっちり打ったから、個性の強い《とり'S》を支えているのかもしれない。
そういえば《とり'S》って何だろう? お酒の好きな本多さんのこと、「トリス」に何か思い出があるのだろうか・・・⁉

〔文・挿絵 ☆ 江戸ソバリエ協会 ほしひかる