キリン「世界初 ホップによるプリン体低減効果」発見
執筆者:motoe
キリンホールディングス(社長:磯崎功典)の酒類技術研究所(所長:井戸田裕二)は、同グループ独自技術「ホップアロマ製法」の活用により、世界で初めて「ホップによるプリン体低減効果」を発見。本研究成果を「第71回日本生物工学会」にて、9月17日に発表した。これまで同社では、プリン体の含量が少ない原料を選抜し、酵母のプリン体生成を抑える発酵法等を用いることで、プリン体ゼロとおいしさを両立したビール系飲料を開発してきたが、同研究所は、さらなるおいしさを追求すべく、新しい製法の開発に着手。これまで、ビール系飲料において、ビールらしい自然な香りや飲みごたえには原料である「ホップ」や「麦汁」は重要な役割を果たしていが、これらの原料を増量するとプリン体も増加してしまうため、味づくりにおける課題となっていた。そこで同研究所では「ホップ」に関する様々な研究を行い、「ホップ」自身にプリン体の1種である「アデノシン」を「アデニン」に分解する活性があることを発見。「アデニン」はビール原料の1つであるビール酵母によって消費されるため、「ホップ」の分解活性を利用すればプリン体を低減することが期待できる。しかし、通常のビール製法では「ホップ」は煮沸工程で高温にさらされるため、「アデノシン」分解活性を失ってしまう。そこで、この活性を維持するため、すでに既存商品に活用されている「ホップアロマ製法」を用いて、低温で実施される発酵工程で「ホップ」を添加したところ、プリン体の低減を実現した。これらの知見を生かすことで、これまで以上にビールに近い自然なホップ香気をプリン体オフのビール系飲料において楽しむことができるようになると期待される。