健康ニュース 1月15日号 学会発表の信頼度は?

     

 健康講演を終えた後の質疑応答などの場で、「私の使っているサプリメントはエビデンスもあり学会でも発表されているということで飲んでいますが、今ひとつ効果を感じ取ることができません。まだ飲み続けたほうがよいでしょうか?」という類の質問を受けます。

 即答するにはあまりにも複雑すぎる質問です。

 しかし多くの方は、エビデンスがあれば、信用するに十分と考えているようです。

 専門医にお聞きしたところ、エビデンスピラミッドというものがあり、1から6までの段階があるということです。

 基本となるエビデンスは、in vitro(イン・ビトロ)といって、試験管内での実験結果とかデータと理解して良いと思います。さらに進んだ段階の用語は、in vivo(イン・ビ―ボ)といい、生体内での、という意味で動物実験などに使われています。この動物実験を繰り返し、解説・専門家の意見や考えをまとめるのがエビデンスの初歩です。

 「エビデンスがある」の一言で信用するのはいかがでしょうか。6つの段階を終え始めて信用されるエビデンスが出来上がるのです。第1段階のエビデンスのみで、サプリメントの良し悪しを判断することは極めてリスクが多いと断言できるでしょう。

 次に注意すべきことは、質問者が学会で発表されている、ということを言っていることです。現在、日本医学会にはそれぞれの専門分野の学会があり、その数は132分科会に達しています。この日本医学会傘下に所属している分科会での発表ならば、それ相応の信頼をおいてもよいと思います。

 考慮すべきことは、つい最近も社会問題となり話題になりました悪徳学会があるということです。それらしい医学団体を名乗り、学会誌を発行。その学会誌に論文を掲載し、代償として法外な論文掲載費を要求するといった類です。このような学会誌に発表されているからと言って、サプリメントの効果を証明するものではありません。

 また何万人のデータがあるからと強調するケースも見られますが、データの多さと効果の因果関係は無関係ということも知っておきましょう。

 さらにスポーツドリンクの中には、体脂肪を燃やすなどの表現が見られます。エビデンスとしてマウス実験でのデータで訴えているケースもあるようですが、だからと言って人でも同じ効果があったとはどこにも表示されていません。またダイエット商品などでは、使用することによって体重が1㎏減った、ウエストが1㎝縮んだと体験者を映像で見せているケースも多いようです。良く考えると、体重1㎏減やウエスト1㎝減は、食事の量と内容、運動量を少し変えると1日で変動可能範囲の数値であることに気づかないでしょうか。何もスポーツドリンクを飲まなくても・・・。

 中にはリピート率が高いということを訴える商品もあります。「購入者の半数以上がリピート客です!」これも冷静に考えると半数は何らかの理由で再購入していないということになりませんか?

 健康増進に上手い話はありません。あくまでも補助手段と認識して欲しいもいのです。