健康ニュース 9月1日号 数字は何を語る?

     

隣家のインテリ夫人「今朝の新聞に、日本人の寿命、最高更新という記事が出ていましたね」

隠居中の大御所 暈穀菜「そうだね。香港が男女とも世界一だったね。男性が、香港、スイス、日本、シンガポール、スウェーデンとなっている。女性は、香港、日本、スペイン、シンガポール、韓国の順だね。君はその記事を見てどう思ったかな?」

隣家のインテリ夫人「私は素直ですから男女とも世界一の香港の方の生活、特に食生活などを知りたいと思いましたわ」

隠居中の大御所 暈穀菜「やはりそうだろうね。発表した厚生労働省は、きちんと内容を説明すべきといつも思っているのだがね。まず平均寿命とは、昨年生まれた赤ちゃんが、発表された年齢まで生存するであろうという年齢だよ。君がいまさら香港の人の食生活を知ったところでどうしようもないからね。次が重要だが、香港の人口は約750万人、スイスは850万人、シンガポールは550万人、スウェーデンが1000万人弱、スペインは4000万人、韓国が5000万人と発表されている。我が国は約1億2千万人だが何か気付いたかな・・・」

隣家のインテリ夫人「各国とも日本に比べると人口が少ないですね」

隠居中の大御所 暈穀菜「それが大きなポイントだよ。発表はされていないが、人口1億人以上の国では、我が国が男女とも断トツであることを国は発表すべきと思わないかな。1000万人にも満たない国と比べて何になるのかね。ただ数字を並べて自己満足しているとしか思えないな。もちろん平均寿命というのは、その国の医療水準、衛生状態、食糧事情などありとあらゆる面が反映されていることは疑いようもないがね。世界一でないからといって何も嘆くことや香港をうらやむことはないということだな」

隣家のインテリ夫人「仰ることは良く分かりましたわ」

隠居中の大御所 暈穀菜「まだ知ってほしいことがあるよ。平均寿命が発表されるとメディアは必ず健康寿命との差を問題にしてくる。WHOが決めている健康寿命、つまり寝たきりでもなければ介護も必要としない健康寿命も我が国はシンガポールに次いで第2位だ(参考①」

隣家のインテリ夫人「本当ですか・・・。そのことは知らなかったです。勉強になりましたわ」

隠居中の大御所 暈穀菜「いや、ぜひ知っておくべきことはまだ言っていない。それはね、日本人として最も多くの人が亡くなっていく年齢のことだ。何歳と思うかな?」

隣家のインテリ夫人「考えたこともありませんが・・・。そのようなデーターもあるのですか」

隠居中の大御所 暈穀菜「もちろんあるよ。男性が88歳、女性が92歳だよ。5歳刻みの年齢では男性が85歳から89歳。女性は90歳から94歳。(参考②)だからその年齢までは健康で過ごすよう日々暮らすことが大事だよね」

隣家のインテリ夫人「メディア発表の裏側にはいろいろあるのですね」

隠居中の大御所 暈穀菜「それを知っておいて欲しかったのだよ。メディアも虚実は報道しないだろうが、何を伝えたいのかもっと掘り下げるべきだろうね。あ~ぁ、しゃべり疲れたな。冷酒で口の渇きを直そう。肴の準備を頼むね」

参考:①WHO、2018年発表資料より引用 ②厚生労働省令和元年7月発表:平成30年簡易生命表概要より引用