キリン「GHG中期削減目標SBT1.5 ℃認証」取得

      執筆者:shirai

キリンホールディングスは、同社が設定したグループ全体のGHG中期削減目標が、国際的なイニシアチブであるSBTイニシアチブ(SBTi)の新基準「1.5℃目標」の認定を取得した。SBT1.5°C目標は、地球の気候変動を不可逆的なものにしないために設定されたものであり、世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑えるための科学的根拠に基づいた目標で、キリングループは2017年に日本の食品会社として初めて旧基準である「2℃目標」の承認を取得していた。今回、日本の食品会社として初めて「2℃目標」から「1.5℃目標」へのアップグレードを行い、SBTiによる承認を取得した。同社は2017年にSBTiの承認を取得しており、2018年にIPCCの1.5°C特別報告書で気候変動に関する新たな科学的知見が報告され、2019年の国連気候行動サミットや国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)などの国際議論では、地球温暖化による気温上昇を1.5°Cに抑制することが広く議論されている。こうした世界の動向も踏まえ、取り組みを加速させる必要性を感じ、本年2月に策定した「キリングループ環境ビジョン2050」において、気候変動に関する目標の一つに「2050年までにバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロ」を掲げた。2050年の長期目標達成に向けた中期目標であるSBTについても、従来の「2℃目標」水準から上方修正を行い、2030年までに2019年比でScope1+2排出量を50%削減、Scope3排出量を30%削減、という野心的な目標を掲げ、SBT「1.5℃目標」として認定を受けた。同社は、徹底した省エネ活動に加えて、燃料転換の実施、ヒートポンプシステムの導入、太陽光発電や風力発電、水力発電由来の電力の活用、および排水処理設備から得られるバイオガスを利用した発電などの再生可能エネルギーの活用、容器軽量化や共同配送を含むバリューチェーンでのGHG削減の取り組みなどを進めており、海外では、グループ会社のLion Pty Ltdで、2020年5月に オーストラリア初の大規模なカーボンニュートラル認証を取得。また、2018年には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に、日本の食品会社として初めて賛同を表明し、シナリオ分析など情報開示を積極的に行っている。直近の本年11月には「RE100」に加盟し、2040年までに使用電力の再生可能エネルギー100%化を掲げた。これらは全て「キリングループ環境ビジョン2050」の実現を目指した取り組みであり、同社が脱炭素社会構築へ向けてリードしていくよう取り組んでいく。