健康ニュース 9月15日号 三つ子の魂百まで

     

 定期的に届くある製薬会社発行の健康かわら版に「腹八分目は高齢者には高リスク?」という小見出しがありました。

 公益社団法人日本栄養士会代表理事中村丁次氏の講演レポートです。結論から述べますと、「高齢者の腹八分は、骨密度の低下の引き金となりフレイルになるリスクが高まる」ということを強調されています。

 高齢者対象の健康教室でも多くの方が、腹八分こそ手軽に実践できる健康法と考えておられます。

 何故高齢者は、腹八分健康説を疑いもなく信じるのでしょうか。それについて論じているケースは無いと言ってよいかもしれません。

 健康教室で参加の高齢者から伺った声に正解がある気がしますので述べてみます。

 高齢者の多くの方々は幼少のころ、両親や同居の祖父母から「腹も身の内だよ」とか「腹八分が健康のもと」と教えられていたのは間違いありません。その時代は、明日の食べ物にも余裕のなかった時代です。その時代の一人当たりの摂取カロリーデータもそれを裏付けています。

 幼いころ、大人から聞かされた健康管理神話が今も根強く脳裏に残っているといえるのではないでしょうか?

 まさに、「三つ子の魂百まで」とか「雀百まで踊り忘れず」がぴったりと当てはまる例と言えるかもしれません。

 今、高齢者となった世代の方々が子育て最中の時代は、飽食の時代と言われていました。国内にいながら、世界中の美味い物を食べることが可能な時代でした。その時代には、自分の子供のころとは異なり、子供たちに「もっと食べて良いよ」とお腹一杯食べさせたのではないでしょうか。少なくとも「腹も身の内だよ」とか「腹八分が健康のもと」とかを子供たちに言わなかったと思います。加えて自分たちも美味しい物を腹いっぱい食べ、その結果「メタボ」という医学用語が一般人にも幅広く知られることとなりました。

 現役時代の食事を「100」としますと、現役を引退すると消費カロリーが相対的に20%ほど減ると言われています。(諸説ありますが・・・)

 分かりやすく述べますと、現役時代に摂取していた食事量には、健康維持には欠かせない諸々の栄養素が含まれています。それが現役を引退すると当然消費エネルギーが減少。どんなに十分食事をしても、現役時代の8割ほどで満腹感となります。減った2割にも健康維持に欠かせない栄養素がたくさんあるのですが・・・。にも拘わらず腹八分を実践するとどうなるのでしょうか。単純計算ですが、現役時代の6割強で食事を済ませることになりませんか?

低栄養を防止するには、1日3度の食事を十分摂るとともに、午前と午後のおやつ時間を設けるぐらいの心構えが必要、という専門家の声を傾聴したいものです。

 9月20日は敬老の日です。形ばかりの敬老ではなく、高齢者が健康であるための正しい環境を整えましょう。何年後かの自分のためにも!