キリン「サプライヤーエンゲージメント」最高評価獲得

      執筆者:shirai

キリンホールディングスは、環境情報開示システムを提供する国際的な非営利団体であるCDPにより、「サプライヤーエンゲージメント評価」において最高評価である「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選出され、2月10日に発表された。同社が「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選出されるのは4年連続。2021年度は「気候変動」および「水セキュリティ」でも最高評価の「Aリスト」に選出されており、3年連続、3部門での受賞となった。CDP「サプライヤーエンゲージメント評価」では、気候変動に対する企業の取り組みを「ガバナンス」「目標」「スコープ3排出量」「サプライヤーエンゲージメント」の4分野の回答から評価される。CDPがCDP気候変動質問書(完全版)に回答した企業を対象に調査し、特に優れた取り組みを行っている企業上位8%を「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選定。グローバルでは500社超、日本企業は105社が選定されている。キリングループは、2020年2月に社会と企業のレジリエンス強化へ向けた新たなビジョン「キリングループ環境ビジョン2050」を策定。気候変動においては、「2030年までに2019年比で、グループ全体のScope1とScope2の合計を50%、Scope3を30%削減する。」という高い目標を掲げ、2020年にSBT(Science-based Targets)イニシアチブ(SBTi)の新基準「1.5℃目標」の承認を取得するとともに、2050年までにバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロを掲げている。2020年11月にはRE100に加盟し、2040年までに使用電力の再生可能エネルギー100%化を掲げた。2018年には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に、日本の食品会社として初めて賛同を表明し、シナリオ分析など情報開示を積極的に行っている。キリンビールでは、22年3月頃を目途に国内全工場へ大規模太陽光発電設備を導入し、年間約5,800tのGHG排出量を削減するとともに、同施策の効果を含むキリンビール全体の使用電力の再生可能エネルギー比率を、2020年時点の約18%から約34%に向上させる。この施策は、新たな再エネ発電設備を社会に増やし、火力電力を代替して社会の脱炭素化に直接的・本質的に貢献する施策となる。また、海外では、オーストラリアのLion Pty Ltd(CEO Stuart Irvine)で2019年に太陽光発電システムの設置が完了し、メルシャンの製造する日本ワイン「シャトー・メルシャン」の全てのワイナリーで購入する全電力についても2022年1月より再生可能エネルギー100%にするなど、脱炭素社会構築へ向けてリードしていくよう取り組みを進めている。さらに、自然の恵みを原材料に、自然の力と知恵を活用して事業活動をおこなっている企業として、自然資本への対応も進め、2021年2月に、SBTNが主催するコーポレートエンゲージメントプログラムに、同年12月にはTNFDのミッションとビジョンを共有するためのサポーターネットワーク“The TNFD Forum”に、それぞれ国内食品飲料・医薬品として初めて参画している。キリングループは、複合的に発生し相互に関連する環境問題に対して、「キリングループ環境ビジョン2050」で掲げている4つの課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)を、個々に考えて対応するのではなく、統合的に捉え、取り組んでいく。