第804話 幻のブータン蕎麦

     

 ソバリエの「ともこ+利恵」ペアから、「ブータンの蕎麦切を食べに行きましょう」と誘われた。
   外国産の蕎麦切は、中国やアメリカNYの蕎麦屋で食べたぐらいであまりないし、しかも今回の打ち手は眠庵さんだというから、かなり期待できる。
   蕎麦粉は彼女の知り合いのオーガニック農産物輸入業社サンスマイルのMさんがブータンから持参した物。それをともこさんが眠庵さんにモノになるかどうか試しに打ってほしいと依頼した。
   この日はもう一人蕎麦屋の「くりはら」さんがいらっしゃったので、計4名でおじゃました。
   ブータンから帰国したばかりのMさんからはブータンの東洋蜜蜂の蜂蜜をお土産にいただいたり、ブータンの国花はブルーポピーだという話を伺ったりした。このブータンの東洋蜜蜂の百花蜂蜜は売り出すという。
  https://www.sunsmile.org/archives/1198  
 ブルーポピーといえば、20年位前に掘文子(1918~2019)の個展で観たことのある花だ。画家堀文子が82歳にして5000㍍の山に出かけて行って、描いたという話だったので憶えていたが、ご覧のとおり気品が香るような花だ。
  そんな話を聞きながら、いつものように食べて飲んだ。自家製豆腐、味噌ピーナッツ、畳鰯、潤目鰯、牛肉大根煮、玉子焼・・・、もう少しあったようだけど・・・。
  そしてお目当ての《ブータン産の蕎麦切》と、《京都美山の蕎麦切》と《北海道新得の蕎麦切》をいただいた。
 《ブータン産の蕎麦切》は香りがあって、美味しかった。
 眠庵さんの採点は静岡産の蕎麦粉に似ていて、打ちやすかった。合格だという。ただし、歩留まりが難点だと付け加えられた。これが業者としてのMさんの解決すべき問題となったが、他のみんなも味がいいということでは一致していたから、勇気百倍だという。
   彼の理念であるオーガニック食品に蕎麦が加わる日が待ち遠しい。

〔江戸ソバリエ ほし☆ひかる〕