健康ニュース 3月1日号 海知らずのフグもある!

      2023/02/23  

隠居中の大御所 暈穀菜「おぅ、良いところに来た。昨日まで栃木の温泉地で静養していたんだ。いつも土産をもらっているからフグ料理セットを買ってきたよ。すぐに食べられるから今夜にでも食べておくれ。ワシも食べたけど地産地消で旨かったよ」

隣家のインテリ夫人「気にしていただいてありがとうございます。でも今、地産地消とおっしゃいましたよね。栃木県は海がないところぐらいは私でもわかりますわ。どちらで獲れたふぐかしら?」と言いながらお土産の包みを見ながら、

「えっ?本当に栃木県産ですね。どういうことかしら・・・?フグといえば下関とばかり思っていましたけれども、栃木県産は初めて見ました。何かのいたずらかしら?」

隠居中の大御所 暈穀菜「いや正真正銘の栃木県産だよ。フグといえば下関や山口県と思い浮かべる発想は単純極まりないね。山口県のフグ漁獲量は全国4位だよ。1位は北海道で、以下は石川県、宮崎県と続いている。(2021年データ)多くの人が山口県を思い浮かべるのは理由があるのだね」

隣家のインテリ夫人「どんな理由ですか?お聞きしたいわ」

隠居中の大御所 暈穀菜「明治時代半ば近くまでは、フグには毒があるということで食べることはもちろん捕獲も禁止されていたのだね。ところが明治21年、日清戦争講和会談時に、時の総理大臣伊藤博文が食べたことから、解禁になったという歴史的事実があるのだね」

隣家のインテリ夫人「そういう史実があるということを初めて知りましたわ。でも海のない栃木県でフグが採れるということとは結び付かないですよね」

隠居中の大御所 暈穀菜「そうだよね。でも海の無い栃木県でトラフグの開発に成功したのだ。『フグを養殖する時に発生する、食べ残しのえさや排泄物による環境汚染を防ぐために、電力を使って海水を循環ろ過して、長期間利用する実験を始めた結果、海の環境汚染を防ぐだけでなく、海のない場所でのフグの養殖を可能にする循環ろ過養魚システムの開発に成功した』という記事がかなり前だが地方新聞に掲載されたことがあるのを覚えていて、行ってみたのだよ。関係者に色々話を聞いてみたところ、栃木県同様海なし県の埼玉ではサバやウニの養殖を研究し始めたというから待ち遠しいね。埼玉の養殖魚といえば金魚や錦鯉だったが、時代は変わったのだろうね」

隣家のインテリ夫人「耳新しいことばかりですわ。ただただ驚きですね。でも養殖といえば餌などで不安な点はないのでしょうか?」

隠居中の大御所 暈穀菜「いや、天然育ちよりは安心ではないかな?何故だって?考えたら分かるだろう。自然の海は汚染が進んでいるからどんなものを食べているか分からない。微小化されたプラスチックごみなども食べている。それに比べると養殖魚は食べているエサはきちんと管理できているはずだ」

隣家のインテリ夫人「そう言われると納得です。でも海面生け簀の方が適しているのではないですか?」

隠居中の大御所 暈穀菜「おや、どうしたのだい?今日は鋭い質問するね。結論として、①人為管理がしやすく生産性が上がる②漁獲権などの制限が発生しない③海に比べて作業量が減少などのメリットがあるらしい。デメリットとして初期資本投資額が高いことや、ウイルス汚染の場合のリスクが高いなどが考えられる。まぁいずれにせよ美味い魚、海産物が安い価格で食べられるならそれで良いじゃないか。そうだ、陸育ちのサーモンを肴にいっぱい始めよう!冷酒が良いだろう」