<コンビ二創業戦記・別伝>「DCVS回想録」第6回

      2017/01/27  

<日本フランチャイズ・チェーン協会活動の思い出>(その2)

私のJFA活動の中で、特に海外に関係したものが二つある。

一つは、フィリピン・マニラでの「第6回・アジア小売業者大会」に、日本代表の一員として参加したこと、

もう一つは、協会主催の「第12回JFA・アメリカフランチャイジング・セミナー」に、団長として参加したことである。

何れも、私の生涯に残る懐かしい思い出である。

「第6回アジア小売業者大会への参加」

アジア小売業者大会は、「アジアにおける流通業の近代化と発展に寄与すること」を目的に,日本小売業協会が主導して開催されるようになったものである。

その歩みを見ると、

第1回 開催国 :日本

開催月:昭和58年(1983)4月

会 場:東京・池袋サンシャインシテイ

≪テーマ≫

「流通業の未来戦略 IN ASIA」

第2回 開催国:韓国

開催月:昭和60年(1985)10月

会 場:ソウル・ヒルトン・インターナショナル・ホテル

≪テーマ≫

「アジア小売業を取り巻く環境の変化とその変化に対応する戦略」

第3回 開催国:香港

開催月:昭和62年(1987)9月

会 場:香港・シェラトン・ホテル

≪テーマ≫

「アジア小売業のダイナミクッス」

第4回 開催国:シンガポール

開催月:平成元年(1989)9月

会 場:ラフッルズシテイ・コンヴェンションセンター

≪テーマ≫

「1990年代におけるアジア小売業の新たなる広がりと躍進」

第5回 開催国:タイ

開催月:平成3年(1991)11月

会 場:バンコク・コンヴェンションセンター

≪テーマ≫

「変動する世界の中のアジア小売業」

というものであり、その時々の「大会テーマ」からは、当時の冷戦構造終結前後の激変する世界経済や、流通業が直面していた時代背景が色濃く滲み出ているのが感じられる。

と同時に、今日の目で見ると、その後のアジア経済が爆発的に急変貌していくエネルギーの淵源をも、窺わせているのである。、

私は、東京・池袋で開かれた「第1回アジア小売業者大会にも参加したが、初めは、人間的な触れ合いを感じさせる、こじんまりとした会合であったと思う。

 

<第6回アジア小売業者大会パンフ><演壇の筆者と会場風景>

 

第6回「アジア小売業者大会」は、平成5年(1993)10月、フィリピンのマニラ・インターナショナルコンヴェンションセンターで開催された。

テーマは「21世紀へ向けての小売り業の飛躍」であった。

私は、日本フランチャイズチェーン協会の副会長として日本代表団の一員に加わり、この大会に参加した。

ローソン商品本部の山田忠義MDが同行し、エスコートしてくれた。

 

<山田さん初め参加の皆さんと>

大会初日は、当時のラモス・フィリピン大統領が基調講演し、続いて「アジア各国の小売業の現状と展望」を総論テーマとして、日本、オーストラリア、ブルネイ、香港、インドネシアの代表によるパネルディスカッションで、大会が始まった。

2日目、3日目には、三つの統一テーマ会議と九つの専門テーマ会議が開かれ、私は、第一専門テーマ会議で「フランチャイズビジネスの今後の方向」というテーマで、英語で講演した。その準備には、かなりの時間を掛けたことを覚えている。

講演の要旨には、次の三つを重点に置いた。

第一に、【 日本のフランチャイズビジネス発展の歴史、及びその中で「日本フランチャイズチェーン協会」が果たした役割と、「フードサービス業」「ビジネスサービス業」「小売業」など各業種・業態の活力ある成長の現状」 】について、データを添えて説明した。

第二に、【 小売業の中でも、日本のコンビニエンスストアが、近々20年の間に急成長し、小売業の主役的位置を占めつつある要因について、

①・フランチャイズビジネスモデルを戦略的に活用していること

②・消費者の日々の暮らしの便利性を高めるために、時間革命、情流革命、物流革命、商流革命、生産革命などの「流通革命・システム改革」を積極的に推進していること

③・それに伴い、日本のコンビ二エンスストアは、今や、「ストアからステーションへ」の進化の過程にあり、

「エブリディライフ・コンビニエンス」

「パブリックライフ・コンビニエンス」

「インテリジェントライフ・コンビニエンス」

の三つの生活の便利性を提供する、地域に無くてはならないライフライン機能を果たす「生活インフラ」となりつつあること 】、を実例を挙げて説明を加えた。

《 特に、私が強張したこの論点は、私がこの原稿を書いているまさにその時に発生した、今回の未曾有の「3・11」東日本大震災においても、実証されつつあると確信している。

東北・関東の被災地に存在していたコンビ二エンスストア・チェーンは、ローソンを初め、いずれも大地震・大津波とそれに伴う未曾有の原発事故により甚大な被害を受けて、一時的には数多くの店舗が営業不能に陥ったという。

だが、全国的なネットワーク・システムの強力なサポートによって、どこよりも早く営業再開に向けた懸命な努力が進行しており、まさに「地域の暮らしのライフライン」の重要な役割・使命が、いや増して再確認されつつあることを、敢えて、ここで云添えておきたい思う。 》、

第三に、【 冷戦構造の消滅と共に、新しい世界秩序の構築が求められているなかで、様々な混乱と不安定さが世界的に深まっている。

日本においても、バブルが破裂して経済の様相が一変しており、従来の価値観や社会経済の仕組みの変革が、不可欠となっている。

21世紀への時代の底流は、グローバルな「民主主義と市場経済への流れ」である。

フランチャイズビジネスの今後の展望を考える時、フランチャイズビジネス・フォーマットがその本質に秘めている「時代の要請、即ち、歴史的変革を推し進める社会的・経済的機能」の重要性を、深く認識すべきである。

フランチャイズビジネス・フォーマットこそ、「経済民主主義の実践的ビジネス・フォーマット」であると確信する。

何故ならば、フランチャイズビジネスは

①・日常生活蜜着産業として、「生活民主主義」の実践形態であること。

②・大企業と中小企業の共生、本部と加盟店の共存共栄を追及する「産業民主主義」の実践形態であること。

③・フランチャイザーとフランチャイジーの対等契約に基付く役割分担共同事業であり、「理念共同体」であると同時に「利益共同体」として、「経営民主主義」の実践形態であること】を主張したのである。、

最後に、【アジアはこの地球上で、最も強い経済活力を漲らせている成長地域である。

21世紀こそ、まさに「アジアの世紀」である。

共に学び合ことで、より良い発展・成長を目指そうではないか。

我々の経験が、少しでもアジアの流通業・小売業のお役に立てるなら望外の喜びである。 】、と締めくくった。

この「アジア小売業者大会」は、その後「アジア・太平洋小売業者大会」と名称を発展させて継続され、2007年には、24年ぶりに東京で第13回大会、2009年には韓国・ソウルで第14回大会が、それぞれ過去最大規模の参加人員で、盛大裡に開催されたという。

またJFAは、平成14年(2002)には、「太平洋・アジア・フランチャイズ連盟」(APFA)に、翌年平成15年(2003)には、「世界フランチャイズ協議会」(WFA)にも加盟して、活動の範囲を国際的に拡大している。

次号は、「第12回・JFA・アメリカフランチャイジング・セミナー」に付いて述べようと思う。

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