<コンビニ創業戦記・別伝>「DCVS回想録」第43回

      2017/01/24  

≪『ローソン親善大使』全国訪店録・一期一会写真集≫(その8)

――2002年(平成14年)5月~2006年(平成18年5月――

「ローソン親善大使・雑感」・②

2・<一期一会の出会い>

「地域に惚れる」

各地のDOMやSVたちは、中にはその地方の出身者も多少はいたけれども、大多数は転勤族であった。

お店を訪問する同行の途中で、私がその地の歴史や人物、史跡等について尋ねると、大抵は、「自分はこの地の出身ではないので、あまりよく知りません。」と、答えることが多かった。

そういう場合、私は、【 それは心得え違いだよ。簡単に、ここの生まれではない等と云ってはいけない。

例え、転勤で数年間しかこの地に居ないとしても、一たび赴任してこの地を担当したからには、ここに居る間は、この土地に惚れ、この土地の人間に成りきる気持ちを持つことだ。

そのためには、この土地の歴史や人物、史跡、伝統文化などに強い関心を持ち、熱心に勉強して、この土地に惚れることが大切だよ。

機会あるごとに、この地を隅々まで歩き回り、よく話を聞いて、知る努力を重ねることだ。

そして、常日ごろ、誰に対しても、「私はここの生まれではありませんが、よく知れば知るほど、この地が大好きになります。」と語り続けなさい。

その熱心な姿勢が、この地の加盟店やお客様に必ず通じて、友情と信頼を深めることになる。

加盟店の方々、そして、そのお店に御来店下さるお客様方は、自分たちの故郷を愛し、誇りに思う気持ちが、どこの誰よりも強い方々なのだから。 】、と強調したものである。

従って、DOMやSVたちと車で同行する道すがら、その土地の名所・旧跡の碑や銅像等を見かけると、必ず、その謂れや伝承を確認し、彼らを鼓舞するのが常であった。

その土地に惚れることは、歴史を知り、人物を知り、伝統文化を知り、その土地の人々に愛着を深めることなのである。

このことは国内に限ることではない。

世界のどこへ行こうと、その国に惚れること、つまり、その国の人を知り、土地を知り、歴史や伝統・文化、自然を知り、理解することが、その国で愛され、信用されて、根付いていくために不可欠な普遍的原理である。

「真の商人」を目指して、この原理を実践することが、いかに大切であるかは、いくら強調しても仕切れるものではない。

成熟化する国内市場から、急成長する成長市場を目指して海外進出が盛んであるが、それが成功するかしないかのカギは、この原理に基付いて行動できるか、否かに懸かっているのである。

ここで、各地の史跡などを訪問した写真を紹介しておきたい。、

(萩・松蔭神社・奇兵隊士像・周防灘干拓遺跡)

(松山・藻利先生菩提寺・高知・桂浜・山梨・恵林寺)

 

(越前・一乗寺遺跡・加賀・東尋坊・上杉謙信像)

(長岡・山本五十六記念館)

「各地DRスタッフとの出会い」

当時のDOM(ディスクリクト・マネジャー)のほとんどは、30代後半から40代前後で、それぞれに個性的な魅力を備えた働き盛りの人材群であった。

DOMというポストは、成長拡大期におけるローソンの経営中核人材の登竜門でもあったと思う。

この地位で頭角を現すと、更に上位に選抜されるのである。

DOMの下には、ディスクリクトの規模にもよるが、平均して10名前後のSV(スーパーヴァイザー)などのスタッフが配置されていた。

SVは、一人平均7~10店舗を担当していた。

これは経営組織論の管理限界(スパン・オブ・コントロール)の考え方に基付いており、経験的に見ても非常に合理的であったと思う。

システム産業として高度な店舗サポートインフラを整えているコンビニチエ―ンといえども、この管理限界を大きく外すと、肝心のスーパーヴァイジングの効率と効果が著しく損なわれることになるからである。

SVの仕事は、想像以上に大変である。

担当する店舗は24時間・年中無休営業であるから、何時、何が起こるか分からない。

普段の日常は、定期的にお店を訪問し、本部方針の徹底や共有、お店の声や要望を聞き、また問題点の解決の相談や指導にあたるのだが、これとて結構忙しいのである。

加えて、何かお店で突発的なトラベルでも起きると、SVは、24時間、何時でも直ちに対応しなければならない。

事故や事件は云うに及ばず、ましてや地震、洪水、火災などの災害が、一端発生すると、SVはその中心者として、一段落するまで不眠不休でサポートしなければならないのである。

そうなると、もちろん一人SVの限界を超え、本部総ぐるみで対応しなければならない事態となる。

阪神大震災や東日本大震災は、まさにそういう事態であった。

特定の店舗や、限定された地域での同じような事態は、今日では、日常茶飯的に起こり得ることである。

フランチャイズビジネスの最前線を担う、SVたちの苦労は絶えないといえよう。

本部の最高経営陣は、加盟店満足を向上・維持して、企業の成長発展を確実にしていくためにも、そのことを重要な経営課題として正しく認識し、きちんと評価・処遇すべきことは、云うを待たない。

全くの余談であるが、かつて戦時中に、旧大日本帝国・軍指導部が、十分な勝算も補給の見通しもなしに、無謀にも、ガダルカナル、ニューギニア、インパールや南方の島々など遥かな戦場へと、大勢の若き兵士たちを駆り立てた上に、結果として見殺しにし、使い捨てにした最悪の歴史的事実を、我々日本人は、決して忘れてはならないであろう。

ここで、親善大使として訪問した際に写した、各地DRスタッフの皆さんたちとの懐かしい交歓写真を、いくつか紹介したい。

(沖縄DR・(熊本DR)

(山口東・西DR・高知DR・新居浜DR)

(和歌山御坊事務所・水戸DR・前橋DR)

(甲府DR・岩手南・北DR)

 

(青森DR・長野DR)

今号で「ローソン親善大使」の章を閉じ、次号からは{DCVS回想録・最終章」を記したいと思う。

(バツクナンバーは「鈴木貞夫プロフィール及び目次と索引」を検索)