第643話 老舗の矜持
こういうときこそ老舗巡り
過日、江戸ソバリエ講師の福田先生と日本橋人形町の「玉〇〇」で昼食を共にした。いつもは長蛇の列で有名だが、さすがに今日はそんなこともなく、少しだけ待つだけだった。
①入口には「マスクのないお客様は体温を計らせてもらいます」とあった。
②玄関に入ると、係の人が手を消毒してくれる。
③注文して席に案内される。席は対面はない。全部横並びだ。
④係の女性が透明の袋を持ってきて「外したマスクはこの中に入れてください」。
⑤帰りの際には「使ったおしぼりは、この袋に入れてお持ち帰りください」とのことだった。
老舗さんは大変だ。先日訪れた「上野藪」本店もそうだったが、老舗さんは地域の代表、かつ業界の代表的立場にあるから、誰が見ているかもしれない。だからしっかりキチンとやらなければ、それが老舗の務めでもあるという。
う~ん!しかし・・・。食業界は衛生管理が第一、というのは当然だ。ただそれは底辺の仕事であってあまり表に出るものではない。用心第一が過ぎて、食の楽しさが第二になるようだとどうだろう?もちろんお店が悪いわけでも何でもない。この緊急時だけのことである。何しろお葬式ですら、ままならない。戦時中でたとえれば今は防空壕生活のような時だろう。しかし昔の防空壕に入るのは、爆撃機が飛んでき来たときだけだった。飛び去れば、ずぐに外に出られた。でも今のCOVID-19は意地悪だ。われわれが壕から出る日はいつになるだろうか?
だから、一日も早い治療薬の開発が望まれる。政府は、先ず治療薬の開発支援に集中し、世界の人々を助けるぐらい気概をもってほしいものだ。
〔文・写真 ☆ 江戸ソバリエ ほしひかる〕