藤清×月桂冠「こんにゃくの画期的製法」共同開発
執筆者:motoe
月桂冠グループの食品会社・藤清(社長:嶋川賢一、本社:京都府城陽市)と、月桂冠(社長:大倉治彦、本社:京都市伏見区)は、こんにゃくの画期的製法を共同開発し、特許権(特許第6700467号、2020年5月7日付)を取得した。この特許権は「ちぢれ風製法」と呼び、太さの異なる糸こんにゃくを複数本ランダムに絡め合わせるもの。この方法で製造したこんにゃくを炊き上げると、通常の糸こんにゃくに比べ、ちぢれた状態になり、タレなどの調味料の味しみが25%アップするという。こんにゃくの製造方法の開発は藤清が進め、月桂冠は製品の分析や評価などを担い、この製法特許の権利化に至ったもの。また、「ちぢれ風製法」で作った糸こんにゃくを板こんにゃくに配合することで、味染みが良い製品を製造できるメリットも見出した。糸こんにゃくは、生こんにゃく芋を乾燥させて製粉し、アルカリ性にして練り合わせたものを、目皿の小さな穴を通して押し出すことで、糸状に成型して製造するが、今回発明した「ちぢれ風製法」は、糸状に成型する際に通す目皿の穴の大きさや配置・個数を工夫することで、太めのもの1本、細めのもの2本の計3本が糸状となって押し出されると同時に絡まるように成型するもの。太め、細めで、それぞれ硬度の異なる糸こんにゃくが絡み合った微妙な隙間に調理用のタレが染み込み、通常の糸こんにゃくに比べて25%多く保持されることが確認されている。さらに、「ちぢれ風製法」により製造した糸こんにゃくを細かく刻んで板こんにゃくに40%配合し、タレで味付けして、通常の板こんにゃくとの比較を行ったところ、味覚センサーでの分析によると、特に「コクのある味わい」「味わいの広がり」が強調されることが判明。同時に、「ちぢれ風製法」による糸こんにゃくを配合した板こんにゃくは、官能検査でも通常の板こんにゃくと比較して有意に味の染み込みが良くなることも確認されている。こんにゃく業界積年の「味がなかなか染みこまない」という課題、解決する技術開発となった今回の「ちぢれ風製法」。今後は、「ちぢれ風製法」を活用したこんにゃくの商品化に注力すると共に、この製法により造った糸こんにゃくの特性を生かして他の食品の素材として応用するなど、幅広く用途開発を進めて行きたいとしている。