健康ニュース 11月15日号 ロコモが新段階へ

     

ロコモティブシンドローム(以下ロコモと書く)と言い、二つの段階でその程度を各自が把握するようにキャンペーンが各地で実施されています。ところが本年9月、日本整形外科学会は、ロコモ度の進行について従来の「1」「2」の2つの段階から、より進行した状態である「3」を設定したと発表がありました。

基準をより細かくして介護状態になる前の、いわゆるフレイル状態に進まぬように予防や診断に役立たせるという目的が読み取れます。

従来の「ロコモ度テスト1」とは、「立ち上がりテスト」が目的で、下肢筋力の測定が狙いです。片足または両足で決まった高さから立ち上がることができるかどうかで判定します。10、20、30、40㎝の高さの台を準備。40cmの台から反動をつけずに立ち上がり3秒間停止をします。両足で出来たら次は片足でやってみましょう。(逆に片足で出来なかったら両足でテストしてもOKです)

同様に従来の「ロコモ度テスト2」は「2(ツー)ステップテスト」と言い歩幅を測定します。同時に下肢の筋力・バランス・柔軟性などを含めた歩行能力が総合的に評価されます。

やり方は、スタートラインを決め両足のつま先を合わせる。できる限り大股で2歩歩き両足を揃える。2歩分の歩幅を測定。(立ったラインから着地点のつま先までを測定)2回やって数値の良いほうを記録します。そして「2歩幅(㎝)÷身長(㎝)=2ステップ値」とします。

紙面の関係で省略しますが、本来なら次に25の質問に回答を記入します。

判定方法は、「立ち上がりテスト」で、両方か一方の片脚で40cmの高さから立ち上がれない、「テスト2」での数値が1.3未満という何れか1つが当てはまると「ロコモ度1」でした。

「ロコモ度2」とは、「テスト1」で、両足で20㎝の高さから立ち上がれない。「テスト2」で2ステップ値が1.1未満の場合、「ロコモ度2」と判定されていました。

今回「ロコモ度3」と判定する基準は、①高さ30㎝の台に座った姿勢から両脚で立ち上がれない②できるだけ大股で2歩歩くテストで、2歩幅(㎝)÷身長(㎝)が0.9未満のいずれかに該当すれば、「ロコモ度3」と判定されます。

この「ロコモ度3」は、「社会生活に支障をきたしていると判断され、自立した生活ができなくなるリスクが非常に高くなった状態」としてあります。

ロコモは、骨、筋肉、などの体の組織が衰え、立つ、歩く、座るといった生活に欠かせない機能が低下していく状態を言います。さらに進行すると転倒に結び付き介護の可能性が高まっていきます。

高齢化社会が進むわが国では、1日も早い対策が待たれますが、国民の1人1人が日々の生活の中で対策を考えておく必要も欠かせません。

食生活面からも、メタボはもちろんですが痩せすぎもダメです。むしろ小太りが良いといわれてもいます。1日3度の食事から五大栄養素をバランス良く摂ること。特に低栄養に注意するためには、高齢者は腹八分健康説を忘れたほうが良いと思います。そのためにもコロナ禍の時代ですが楽しく食べる工夫をしましょう。まだ衰えぬコロナ影響による生活環境の変化は、思わぬところでも健康障害を引き寄せています。

参考資料:①公益社団法人日本整形外科学会発酵ロコモパンフレット2015年版 ②読売新聞2020年9月14日記事