矢野経「2020年度飲料容器市場規模の見通し」発表
2021/01/19 執筆者:編集部
矢野経済研究所は2020年の飲料用容器市場規模(国内出荷量ベース)を発表した。それによると総数696億9,300万本(前年比94.9%)と前年を割りこむ見通し。種類別にみると、紙カートンは同99.6%、アルミ缶は同98.6%と善戦しているが、新型コロナウイルスの影響による外出自粛やリモートワーク実施などを背景に、自動販売機やオフィス街のCVS(コンビニエンスストア)での利用機会が減っているため、PETボトルは同91.5%、ガラスびん同91.0%、飲料用スチール同89.5%、チルドカップ同88.9%となる見込み。コロナ禍での外出自粛やリモートワーク実施により家で過ごすことが増えたため、家族で消費する大容量な飲料や食品用容器、テイクアウトやデリバリー用の容器に対する需要が増加している。大容量ニーズとしては、2LなどのPETボトル入りミネラルウォーターや茶系飲料、900ml~1L容量の紙カートン入り牛乳、1.8L容量を中心とする紙カートン入りアルコール飲料などが挙げられる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、何度も使い回すリユース容器から使い切りのディスポーザブル容器が改めて注目され、ワンウェイで処理できるプラスチック容器の利便性が見直されている。これにより、これまでの脱プラの流れが一旦ペンディングになりそうな機運はあったが、一方で環境配慮型素材の活用を推進するCVSでは2020年に容器の紙化を推進したアイテムもある。容器メーカー各社には、まずは今の需要を前提に利益の出せる体質へと変化させることが求められるが、今後、環境配慮型素材の活用がユーザーである飲料メーカーや食品メーカーにおける採用の前提条件になる可能性がある。アフターコロナ・ウィズコロナの時代においても脱化石由来原料の流れは変わらない。各社の公開資料をみると、大手CVS 3社における2020年1月~11月の客数平均は前年同期比89.2%となっており、今後、客数が新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年水準にまで戻ることは期待しにくい。容器メーカー各社は環境配慮型素材の活用を基軸にしつつ、この2020年を起点とした容器事業の再拡大を目指すことが求められていく。http://www.yano.co.jp