健康ニュース 5月15日号 「いただきます」の意味
ぴかぴかの一年生が入学後50日近くを経ようとしています。地域によっては学校給食も始まる時期ではないでしょうか?
2005年(平成17年)に栄養教諭制度がスタートして以後、いわゆる食育というものが脚光を浴び始めました。そんな食育の中で、これはおかしいのではないかという疑問を挙げてみます。
疑問①「いただきます」という意味は、「肉や魚はもちろんのこと、野菜や果物にも命があるのです。その命をいただくのですから、感謝の意味を込めて心からいただきますと言いましょう」という趣旨のことを子供たちに教えていないでしょうか。
諸説ありますが日本列島には、仏教が伝来する数千年も前から私たちの祖先が住んでいたことは間違いありません。祖先たちの生活は、時には何日間も食べ物にありつけないことがあったであろうことは容易に想像できます。
「もう5日間も食べ物を口にしていない。今日、何も食べることができないと命が危ないかもしれない」と考えながら、朝から食べ物を探しまわっていることを想像してください。そしてこの日も何も食べていない。夕方が近づきもう力尽きそうなとき、少し先に熟した実がいっぱいぶら下がっている柿の木を見つけました。この時、祖先は柿の実にも命があるのだ!と考えたでしょうか?ありえないことでしょう。何故なら生きもの全てに命がある、という発想は仏教が伝わってからのことです。祖先は、「これは神様が私に下さったものだ。ありがたくいただこう」と思いながら柿の実を食べたことでしょう。
日本人の風習として、「いただきます」というのは、神様に感謝の気持ちを伝える言葉と考えられないでしょうか。食べ物は、神社などに残っている古文書などによると神様からの賜りもの、「賜ぶ物」が変化した言葉とあります。
疑問②「食物とは人に良い物」と書く?
「食」の部首は「食偏」です。部首を「人」で探しても検出できません。
「食物とは人に良い物」と書く、と最初に言った方は、食育基本法を成立させた時の委員のようですが、次のように語っています。
「食べ物とは、見掛け上は人に良い物と書く、といったつもりですが、見掛け上は、と言ったことが省かれて広まってしまいました」
「人」という文字を書いてみてください。その下に「良」という漢字を書いてみましょう。何年生で「食」という漢字を習うのかは分かりませんが、教えられた通りに書いて×となったら、子供のショックは大きいと思います。教えられた通りに書いたのになぜ×なの?教えた先生や大人は何と答えるのでしょうか?
疑問③食べ物に好き嫌いがあってはだめ?
嫌いなものを無理強いして食べさせるのは子供の人間性を軽んじてはいませんか?
もしかしたら、大人の感覚で、偏食と好き嫌いを混同していませんか?
特に子供は「苦い物」と「辛い物」は大の苦手であるのということを理解しておきたいものです。
東洋医学の考えでは「苦味」は毒物を感知する味覚であり、「辛味」は体温を挙げる味覚です。今ではどんなものでも安心して食べることができ、子供が毒見する必要はありません。また子供の体温は大人に比べて高いので、上げる必要もありません。いずれ年齢を重ねていくにつれて、苦い物も、辛い物も好物となる日が来ることでしょう。ただ偏食はダメです。偏食は成長にも健康にもマイナス面が多いことを知っておきましょう。