健康ニュース 9月1日号 ピーマンの話題色々
隣家のインテリ夫人「高校生の娘がいきなり、私も大人になった気がする、って言いだしたのです。どうしたの?と聞くと、あんなに苦くて食べることができなかった青ピーマンがこの頃おいしいなぁと思うようになった、というのです。こんなことで大人になったと思うこと自体まだまだ子供ですよね」
隠居中の大御所 暈穀菜「いや、味覚に関しては間違いなく大人になっているのではないかな」
隣家のインテリ夫人「味覚の世界では大人ですか?・・・。どう言う意味かしら?」
隠居中の大御所 暈穀菜「味覚には五味と言って、甘・酸・苦・辛・鹹(かん)というのがある。鹹とは塩辛さのことを言っているのだよ」
隣家のインテリ夫人「五味はよく耳にしますよね。でも旨味というのがないですね」
隠居中の大御所 暈穀菜「この五味というのは、東洋医学の世界では何千年も前から言われていることだ。君の言う旨味は料理の世界での話であり、1908年に日本人学者が、グルタミン酸が旨味物質であることを発見してからというから歴史的にはまだ新しいといえるのではないかな」
隣家のインテリ夫人「そうですか。でもなぜ苦い物を食べられることが大人と言えるのですか?」
隠居中の大御所 暈穀菜「東洋医学では、苦味というのは、毒を知る(感知する)味覚という役割なのだね。子供が苦い物を嫌うのは、毒は大人が見分けてくれるので、体で会得しておく必要がないということだ。大人が毒の無い安全なものを与えてくれるから安心して食べる、ということになる。その苦味のある青ピーマンを食べられるようになったということは、味覚の世界では間違いなく大人になったということだよ」
隣家のインテリ夫人「そうですか・・・。だんだんと大人になっていくのですね。母親の立場から言いますと、好き嫌いなく食べてくれるのはうれしいことですが・・・」
隠居中の大御所 暈穀菜「ところで、青ピーマンを収穫せずに、4倍ほどの日数経過で赤ピーマンになることを娘さんには伝えておきなさいね。なんだよ、その顔は?君も知らなかったのだな」
隣家のインテリ夫人「そうなのですか・・・。だから赤ピーマンの方がお値段も高いのですね」
隠居中の大御所 暈穀菜「全く厭になってしまうな・・・。頭の中がピーマンじゃないのかな」
隣家のインテリ夫人「頭がピーマンってどんな意味ですか?先生のことだから誉め言葉ではないですよね?」
隠居中の大御所 暈穀菜「頭が空っぽということだ。ついでだが、ピーマンが好きです、と英語では言わないほうが良いよ。何故だって?ピーマンは、英語ではbell pepperとかgreen pepperと言うのだね。一方、英語ではpeemanのpeeは、幼児言葉でおしっこ(~をする)という意味になる。だから、私はピーマンが好きです、と英語で言うとおかしなことになる、とアメリカ人の友人が言っていたよ。娘さんにも言っておきなさい。さて話疲れたから冷たい生ビールを飲もう。肴は赤と青ピーマンのサラダが良いな。ピリッとした苦味が、冷たいビールにはぴったりだよね」