健康ニュース 4月15日号 交通事故死者数を考える
小学1年生のランドセル姿が本格的な春の到来を思わせます。新1年生たちの通学路には、ボランティアの方々が立ち、子供たちの安全を見守っています。この光景は春の風物詩と言えるのではないでしょうか。
今年も4月6日から15日までの10日間は、春の交通安全運動期間であり、4月10日は「交通事故死ゼロを目指す日」でもあります。
警視庁が新年早々に、2021年の交通事故死者数は、2636人で、前年比は203人減となり、5年連続で最少を更新した、と発表しています。日夜を問わず、取り締まりに当たっている警察官には感謝の気持ちがあるのみです。
周りの多くの方々に確認したところ、この交通事故死者数が減っている事を何の疑問も持たずにそのまま受け止めているようです。
そこで次のような質問をしてみました。皆さんのお考えはいかがでしょうか?
「昨年の秋に、友人が交通事故に遭い、救急車で病院に搬送された。残念ながら家族に看取られ事故発生から2日後に亡くなってしまった」
この場合、亡くなった方は、昨年の交通事故死者数の2636人に含まれているのでしょうか?という質問をしたところほとんどの方が「もちろん含まれている」と答えられました。
多くの国々ではこの答えで正解と言えますが、わが国では間違いです。少なくとも警視庁発表の2636人には残念ながら含まれていません。
警視庁発表の死者数2636人とは、交通事故発生から24時間以内に亡くなった方の数字であることを理解していない方がほとんどです。これを考えた時、警視庁では明確に「事故発生後24時間以内の死者数」と付け加えるべきと考えるかもしれませんが、警視庁では後日、事故発生後30日以内に亡くなった方の数字も発表しています。
我が日本国の救急医療は、世界に誇るべくレベルにあります。事故発生から病院に運ばれ応急手当てを受け、何とか24時間は生命維持ができたが、手当の甲斐無く事故発生の25時間後に亡くなったというケースは、死亡原因に他の疾病等が記録されます。例えば、死因は脳挫傷、というように・・・。
このことを考慮した時、救急医が発達すればするほど、結果として交通事故死者数は減っていくということが容易に考えられます。
先述の通り、実は警視庁では、世界の先進国同様に事故発生から30日後に亡くなった方の数字も公表しています。2021年の数字は年度内に発表されることと思います。ここでは参考に2020年の数字を列記します。
2020年の、交通事故発生後24時間以内に亡くなった方の数は2839人でしたが、30日以内に死亡した方は3415人でした。
この30日以内の死亡者数が、毎年3月中旬までに発表されていることはあまり知られていません。今年も3月中には、同様の発表があるものと思いますが、メディアは一般の人々が印象に残るような報道をするのでしょうか?
他の先進国同様に、事故発生後30日経過後の死亡者数発表がもっと注目されるよう各メディアには尽力を願いたいものです。
交通安全に関してもっと考えるべきこともあります。
その一つが、今もって飲酒運転による悲劇が絶えないことです。いったい何故でしょうか?
飲酒運転には、事故の有無に関わらず、運転免許即取り上げ、再発行には10年を要するなど厳しい措置は不可能でしょうか。
新しいランドセルを背負った子供たちの将来が、飲酒運転犠牲者となってしまうことの無いような厳しい対応策こそが、真の交通安全といえることでしょう。交通安全についても色々考えることが多いですね!