健康ニュース 5月1日号 卵コレステロールの今昔

      2023/05/05  

隣家のインテリ夫人「私の学生時代に、コレステロール値が高くなるから卵は1日1個にしよう、と母が良く言っていました。先日、健康の本を見ていたら、高齢者は1日に2個食べても気にすることはない、とありましたが卵に対する考え方が変わったのでしょうか?」

隠居中の大御所 暈 穀菜「確かに言う通りだよね。健康診断で少しコレステロール値が高いと、卵を控えるようにアドバイスを受けていた人が周りにも多くいたね。そもそもコレステロールは健康に悪いという実験そのものが間違っていたという説が有力だよ。日本人の食事摂取基準からもコレステロールの目標数値は記載されなくなっているからね」

隣家のインテリ夫人「そうですか・・。どのような実験でコレステロール摂取基準値が決められたのでしょうか?」

隠居中の大御所 暈 穀菜「諸説あるが有力なのが面白そうだから紹介しておこう。1910年代にロシアの学者が行った実験だよ。その内容は、ウサギにコレステロールが多く含まれる高脂肪食を大量に与えたところ、ウサギの大動脈壁にかなりの脂肪が沈着して異常が発生したというのだ。それによりコレステロールが動脈硬化の要因という説が定着したということだ」

隣家のインテリ夫人「だとしたら人も大量に摂ると良くはないですよね。人もウサギも同じ哺乳類ですし・・・。何をニヤニヤ笑っているのですか?私の考えは間違っていますか?」

隠居中の大御所 暈 穀菜「いや、同じ哺乳類という発想は、素晴らしいなぁと思っただけだよ。でも考えるならもう少し深く掘り下げて考えて欲しいね」

隣家のインテリ夫人「・・・・・」

隠居中の大御所 暈 穀菜「ウサギは草食動物でコレステロール自体を吸収出来ないということに気づいて欲しい。吸収できないから異常が出るのは当たり前だよね。雑食の犬やネズミに高脂肪食を与えても、ウサギに発生したような異常は出なかったということだ。もちろん多種多様な実験を重ねた結果、人においては少しぐらい多めのコレステロールを摂り続けても異常は出ないということから摂取基準値を記載しなくなったと言えるのだね」

隣家のインテリ夫人「なんとなく納得ですわ・・・」

隠居中の大御所 暈 穀菜「では質問しよう。良質のたんぱく質を摂りましょう!というだろう?」

隣家のインテリ夫人「よく耳にしますわ」

隠居中の大御所 暈 穀菜「では悪質のたんぱく質ってどんなものをいうのかな?考えたこともないのだろうね。
悪質のたんぱく質なんて存在しないよ。良質のたんぱく質というのは、人が体内で合成できない9種類のアミノ酸(乳幼児や子供は10種類)がバランスよく含まれているものを言っているのだよ。合成できないから食べ物から摂る必要があり、これを必須アミノ酸と言っている。そして必須アミノ酸がどれぐらいバランス良く含まれているかを知ることができるのがアミノ酸スコアだ。もちろん卵は人が必要とする全ての必須アミノ酸の量を充たしているので、アミノ酸スコアは一〇〇ということになる。こんな卵にも欠点があるのだが・・・。卵にはビタミンCと食物繊維が含まれて無いのだね。鳥の雛が体内で合成できるから卵には存在しないのだろうと言われている。だから卵料理を作る時はこのことを意識しておくと健康管理に役立つよ。野菜サラダにゆで卵を加えるのは最高ではないかな。ついでにひとこと言わせてもらうと、冷酒が準備されていると最高だ!では一杯始めようかね!」