第571話 令和元年江戸ソバリエ認定講座

      2019/04/21  

笑点から

 テレビ番組の『笑点』を知らない人はいないだろう。
開始は1966年(昭和41年)だというから小生の学生の頃である。バケモノのような長寿番組であるが、『笑点』と聞いただけで「さあ、笑うぞ」という気持や期待をもつのは私だけではないだろう。
期待といえば、江戸ソバリエ講師の森由美先生が陶磁器の専門家として活躍している『なんでも鑑定団』などもそうだ。「今日はどんなお宝が飛び出すだろう」と期待する。
これらの長寿番組はいずれもたいしたものであるが、倣ってわれわれも「『江戸ソバリエ』といえば・・・」と、【何かを期待されたい】と願っているところである。

ところで、ある日『笑点』を観ていたら、出演者の年齢の話になった。それによると、司会者・座布団運び役を含めてのことだが、80才代から40才代まで、平均65才、そして70才前後が多数であった。
2019年(平成31年)がそうなら、昔はどうだったろう。と関心をもった私は、1980年(昭和55年)の出演者の年齢をチェックしてみた。すると、出演者は50才代から30才代まで、平均40才、司会者以外全員が40才代30才代であった。
ただ、このほぼ40年前の1980年にとくに意味はない。たまたまである。というよりか出演者の長期間の出演が大いため、このくらい遡らないと比較計算ができなかったからである。
それでも、今と昔の、傾向の違いは明確に現れていると思う。
そこで思い出すのは、私が在職していた会社のA社長のある言動だ。
A社長は70才になったとき「これから社長自らが取材に応じることはしない」と宣言した。理由は、記事には必ず「A社長(70才)」と年齢が併記される。そうすると「トップが70才の年寄だったら、会社全体は年寄ばかりだとみられる」からだという。そんな具合にマスコミ対応はそうであったが、それ以外の経営はオーナー社長でもあったため常に先頭に立っておられた。
だが、私はソバリエを立ち上げたとき、70才線引説がいつも頭にあった。
しかし、A社長の宣言から30年以上経った今日、日本は高齢化社会となり、冒頭の『笑点』のごとく70才代が中心メンバーの社会となった。これも現代の日本社会の投影だろう。
むしろ、線引どころか、世界に先駆けて高齢化社会の先行モデルの模索さえ世界から求められている状況である。世の中、変わったものだと痛感するが、その一つに終身雇用制の崩壊もはやかった。そこで私は将来モデルとして終身理事制にしてみようと試みている。だから先輩理事たちには「名誉的役割でもいいから」と就いてもらっているところである。

さて、冒頭の「期待」について話を戻せば、今夏も例年通り江戸ソバリエ認定講座の開講を予定している。令和元年度の最初の講座になるが、「粋な仲間と楽しくやろう」と宣言で謳っている通り「蕎麦好きの人はソバリエの旗のもとに集まりませんか」というのが講座の目的である。
ただし、仲間が集うには多少自由さや広さや余裕がなければならない。だから、
蕎麦を先頭に、和食、麺、食・・・などに好奇心をもつ人たちよ、女よ男よ、青・中・老よ! 風にはためく江戸ソバリエのフラッグを目印に集まろうよ・・・♪、と広く呼び掛けているところである。

〔文 ☆ 江戸ソバリエ協会 理事長 ほしひかる