第一人者が語る 【 日本の糖質制限食品の歴史③ 】

      2019/09/19  

~親愛なるケイコ・スパークスさんと糖質制限食品との出会い~

 

私が糖質制限食品と出会ったのは、2001年、アメリカのバージニア州に留学中の時でした。

「日本の糖質制限食品の歴史②」にてお話しした通り、バージニア州を留学先に選んだのは、私の母の友達のお姉さん:ケイコ・スパークスさんがアメリカ人のディーン・スパークさんと結婚されて住んでいたためでした。

 

ケイコさんは、私にとってアメリカの祖母のような存在でした。
私が家にお邪魔する時は、何も気を遣わずにいてくれました。
(気を遣われると、人って頻繁にお邪魔出来なくなるんですよね)

 

その何も気を使わないでいてくれることが、とても心地よく、
飲み物が飲みたい時は、冷蔵庫を勝手に開けて飲む。
ケイコさんやディーンさんがテレビを見ているリビングのソファーで昼寝。
お邪魔した時は、必ず夜食も私の分を用意してくれて普通にみんなでテーブルを囲んでの食事。と、

 

ケイコさんの家は、まるでアメリカの実家のようでした。

 

私がケイコさんに初めて出会った時、ケイコさんは確か75歳??だったと思います。
出会う2年前に、ケイコさんは肝臓移植をされ、1日に5回、注射薬や多数の薬を飲み、その薬の副作用により糖尿病と同じ食事療法をしていました。

 

ケイコさんが、この「薬の副作用により糖尿病と同じ食事療法をされている」ことを通して、私は、糖質制限食品と出会いました。

糖質制限食品と出会った日は、いつもの何気ない日常のある日でした。

 

ケイコさんの家にお邪魔して一緒にお茶をしていた時。
ケイコさんがお菓子を置いてある棚を見ながら、

 

ケイコさん:「由香さん、ごめんなさいね。今日は、普通のお菓子のストックが無くて、糖尿病患者用のお菓子ならあるんだけど・・・それでも良かったら食べる?」

私:「えっ????糖尿病患者用のお菓子???そんなお菓子があるの???是非、食べたいです!!」

ケイコさん:「砂糖不使用(Sugar Free)のクッキーだから、あんまり美味しくないからね・・」

 

と出されたクッキー!!

見た目は、普通のクッキー。香りも普通のクッキー。

原材料では、砂糖の代わりにスクラロースが使用されていて、小麦粉の使用量が少なくて、糖質を大幅にカットされたクッキーでした。

あまり美味しくないだろうとイメージしながら一口・・・・・・・

!!!!!!美味しい!!!!!

アメリカのくどいお菓子が苦手だった私にとって、さっぱりとした甘さで美味しい!!
これは、日本のお菓子のようにちょうどよい甘さ!!

 

私:「ケイコさん、これすごく美味しいですよ!!これで砂糖不使用なんて信じられない。糖質を大幅にカットしてるなんて!!これ、ダイエットにもいいじゃないですか!!」

ケイコさん:「そう??私は人生の半分をアメリカで生活しているからか、これらのお菓子は味が薄すぎて美味しいと思えないの・・・。ダイエットの方も、これらのお菓子を購入しているそうよ。そんなに喜んでもらえるなんて(笑)」

私:「ケイコさん、ありがとう!今度から、お菓子は砂糖不使用のこれらのお菓子を購入しよう。」

 

これが、私が初めて糖質制限食品と出会った瞬間でした。

 

その後、スーパーに行った時に糖質制限食品を探したら、またまたビックリ!!

スーパーの中側の長~い陳列棚の1列が、糖質制限食品や各アレルギー別の食品などで埋め尽くされていました。

まだ、日本では、『糖質制限』も認知されてなく、『糖質制限食品』も存在していない時に、アメリカでは、スーパーでも、ドラックストアでも、コンビニでも、どこでも糖質制限食品を購入することができる。

 

日本とアメリカでのこの違いの大きさってなんだろう??
医学は日々進歩して行く。今、この時も。
そして、その情報が世界で共有されるのはとても速いのに、何故、こんなにも違うのか?

 

当時(2001年)、私の祖母も糖尿病でした。
祖母は糖尿病と診断されてからずっと(約8年間)、好きだったお菓子を食べずに頑張っていました。「糖尿病になったのはあなたの責任です。これ以上悪くなりたくないなら、お菓子は食べないこと。病院に通っているあなたに、お菓子を食べる権利はありませんよ。それくらい深刻に考えて下さい。」と祖母は主治医から厳しい言葉を頂いたそうです。
その主治医の言葉をしっかりと守っていた祖母。

 

ここかな!!これらの食品類の発展の早いアメリカと遅い日本の差が出来たのは。

 

( ここからは、私の勝手な想像と解釈です )

アメリカ人は、自分の主張ははっきりと言う方が多いです。
糖尿病の患者さんが、主治医から食事制限を言われたら、「私、糖尿病なのでお菓子食べたくても食べられません。そんな私の食べれるお菓子作って欲しい」と主張するだろうと思います。そして、その主張が市場や企業に届き、これらの商品類が開発され、発展した。

日本人は、自分個人の主張を世間に向けて発しない方が多いです。
糖尿病患者さんが、主治医から食事制限を言われたら、しっかりと従う。
病気になったのは自分の責任、だから自分が我慢するしかない。
そのため、糖尿病の方の「お菓子が食べたい」との思いは主張されず、市場や企業に届かず、これらの商品類の開発や発展が遅くなる。

 

のではないかなと、、、、(再度、これは私の勝手な想像と解釈です。)

 

ケイコさんを薬の副作用を通しての糖質制限食品との出会い。

糖尿病ではなく、肝臓移植後の薬による副作用によって糖尿病患者さんと同じ食事療法をしなければならなかったケイコさん。

「私の年齢で肝臓を頂けるなんて普通ではありえないことなの。だから凄く感謝しているし、何かこの世でやるべきことがあるって使命を頂いていると思う。でもね、糖尿病じゃないのに、糖尿病の食事療法で死ぬまで生活するのが辛い。昔のように何も考えず好きな物を食べられたいなぁ」

 

小さい頃から『食』を中心に笑顔の人の輪があるんですよね。

家族、友達、同僚・・・・・・

食べられなくなって初めて気づく、何でも好きな物を、好きな時に、好きなだけ食べれることの幸せ。

 

しあわせフードをすべての人に・・・・・

糖質制限
髙森由香