第948話 手前味噌
2025/09/03
 ソバリエの「北育」さんと「河美」さんから、彼女たちが指導する味噌作り体験教室にお誘いがありました。
 自分自身も興味をもっていたのですが、そのうえにこのお二人に誘われると断れませんので、参加させてもらいました。
 1)3月9日、いわゆる仕込みです。
 ・麹を細かく潰します。
 ・10~12%の塩を混ぜます。
 ・温めた大豆を手の平で潰します。 
  「北育」さんは、今日作るのは約1㎏だから手潰しがいいとのことでした。
  そして、それらを混ぜてから、空気が入らないように保管します。
 
 
 2)それを自宅に持ち帰って、床下の物置場に保管します。
  3)6月半ば、取り出して、黴を取り除いてまた保管します。 
 4)普通なら10月末まで保管ということでしたが、この暑さです。8月下旬に取り出して、冷蔵庫へ移しました。
   5)サ、お味噌汁を作りましょう。うん、うん。やはり手作りは美味しい♪
    これがほんとの手前味噌。
 そういえば、手作り味噌はよくあるけれど、手作り醤油はなぜ一般的ではないだろう?
 ふと、疑問をもってきました。

 話はとびますが、昨年の秋に韓国へ行ったときのことを思い出しました。
 たいていの家の前に無数の陶器壺が置いてあります。
   これで醤油・味噌を作っているとのことです。
  韓国の場合、特に朝鮮時代に「ジャン」を保管する倉庫「醤庫」や、それを管理する「宮女」がいるぐらい、昔からジャンを大事にしてきました。
  日光に当てて乾かした「メジュ(茹で大豆をすり潰して固めたもの)」を大きな壺の中に塩水とともに入れて更なる発酵を待ちます。こうして発酵が済みます。
 すると、壺の中の液体のは「カンジャン(日本の「醤油」)になり、固くて塩辛い塊は「テンジャン(日本の「味噌」)」になります。
 このように、韓国はメジュから二種類のジャンが得られますが、日本は現在、醤油作りと味噌作りは別になっています。
 作り方がちがうから、日本では醤油は冷蔵庫保管をすすめるぐらい新鮮さを求め、味噌は何年物といって、古い物をありがたがります。
 韓国は、「味噌はあまり年をとるとよくない」と言い、「醤油は年を重ねると美味しい」と言って、日本とまるで逆です。
という風に、韓国、中国などを旅してみて、箸、麺、味噌醤油など同じ文化圏であることを実感し、微妙な相違に驚きながらも、それ以上の探索まではなかなか手が出てない今日なのです。
ほし☆ひかる 江戸ソバリエ