キリンHD「大麦搗精粕抽出物の免疫活性」確認

      執筆者:編集部

キリンホールディングス㈱のフロンティア技術研究所は、大麦搗精(とうせい)粕から抽出したリグニン配糖体が動物で免疫賦活効果を示すことを見いだし、この研究成果を日本農芸化学会2011年次大会した。なお、この研究は同大会でトピックス賞を受賞した。大麦搗精粕は、主に発泡酒製造時に生じる副産物として飼料などに利用されており、セルロース、リグニンなどから構成されている。リグニンは地球上でセルロースに次いで多いバイオマスだが、現在産業利用は限定的であり、今回、リグニンの免疫力向上の効果に着目して作用の化学的な解明に取り組み、マウスの細胞実験および個体実験で免疫活性について検討したところ、その増強機能が確認された。さらにリグニン配膳体の標的はTLR4であることが判明した。またマウスの実験により消化管中の樹状細胞が活性化することが明らかになった。これらのことから身近な食物植物に普遍的に含まれるリグニン配膳体が、TLR4を作用点として多様な免疫活性を賦活する物質であることが明らかになった。今後、これまで産業利用が限定的だったリグニン関連物質の利用範囲が拡大するとともに、大麦副産物のさらなる有効活用を促進し環境負荷低減につながることが期待される。