中国市場「主要外国銀行の金融商品」急成長

      執筆者:編集部

ウォール・ストリート・ジャーナルによると中国の国内およびオフショア市場で主要外国銀行が人民元建て金融商品市場の急速な成長への期待を強めている。中でもHSBC、ドイツ銀行、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は、今後数年間に香港・上海での業務が急拡大するとみている。しかし、外銀の拡大を抑制する要因が2つある。それは、中国政府が金融市場の拡大をコントロールできなくなるのではと懸念していることと、同国の銀行を世界的な金融機関に育成したいと思っていることである。 HSBCを中心とする外銀はオフショアの人民元市場を支配している一方、中国の主要銀行は元取引についてどの分野でも圧倒している。外為・与信・金利商品の取引ではHSBCは中国の銀行を含めたランキングでは23位にとどまっている。RBSは外銀の中では第8位だが、中国の銀行を含めると69位に沈んでしまう。第1位は中国国有の中国開発銀行(CDB)だ。中国の金融市場は依然として発展の初期段階にあり、外為先物や金利スワップなど基本的なデリバティブ(金融派生商品)の試験取引を開始したのはつい5年前のこと。しかし、より複雑な金融サービスのニーズはますます強まるとみられ、政府も金利の自由化、為替変動幅の拡大、間接金融から直接金融への移行の支持を表明している。加えて、政府は上海を2020年までに世界の金融センターにする計画で、外国勢に対する開放はさらに進むとみられる。RBSは5~10年後には同行の上海での業務は香港やシンガポール、ロンドン、さらにはニューヨークに匹敵するものになると予想している。HSBCのアジア・太平洋地域の責任者であるゴードン・フレンチ氏は、オフショア市場の1日当たりの元取引高は昨年第3四半期の5000万ドルから8億~10億ドルに急拡大していると指摘、「中国市場は戦略的にみて当社にとって群を抜いて最も重要な市場となっている」と述べる。ただ、中国市場には成長の機会がたくさんあるものの、元取引が増加しても外銀は脇役にとどまりそうだ。