日本公庫「東日本大震災関連の食品産業動向調査」

      執筆者:編集部

日本公庫農林水産事業は3月6日に東日本大震災関連の食品産業動向調査を実施した。東日本大震災の発生から1年近く経った現在も、全国の食品関係企業(製造業、卸売業、小売業、飲食店)の35.2%は東日本大震災(地震・津波)による影響が残っており、東京電力福島第一原子力発電所の事故では44.1%が影響している。なかでも、北関東地域(茨城県、栃木県、群馬県の3県)では72.7%と高く、岩手・宮城・福島の被災3県の68.9%を上回っている。東日本大震災(地震・津波)および原発事故で受けた影響への対応としては、仕入先、製品、商品の変更、開拓が54.3%と最も多く見られ、次いで正確な情報の収集、提供が27.8%、納入先、販売ルートの開拓、強化が24.4%となっている。全国の食品関係企業の事業継続策定計画については、災害への危機対応や危機管理が重要な課題になる一方、対象企業の48.3%が事業継続計画の策定の予定はないとしている。その一方で、事業継続策定計画を東日本大震災を機に策定した(2.1%)、または現在、策定を検討している(16.2%)、今後に策定を計画している(22.6%)という企業は合わせて40.9%にとどまった。年間売上高別に製造・卸売・小売業の3業種(飲食店を除く)を見ると現時点で策定している企業の割合は売上高20億円未満の企業では6.9%、100億円以上の企業では26.8%となっており、売上高規模が大きい企業ほど事業継続策定計画をしていることがわかる。事業継続策定計画を予定しない食品関係企業の理由としては、計画そのものを「知らない、または考えたことがない」、「必要性を感じない」が合わせて54.9%と過半を超えている。その一方で、情報が不足、人材が不足、費用負担が大きいとの理由を合わせて41.9%となっている。調査方法は平成24年1月1日、郵送により調査票を配布し、郵送またはファックスにより回収、対象企業(製造業、卸売業、小売業、飲食店) 6,684社、有効回答数2,367社(回答率35.4%)、内訳、 製造業1,487社、卸売業591社、小売業227社、飲食店62社。