食の道具(1) 有次のぺティナイフ(京都)
執筆者:編集部2
私はここ10年ぐらい東京にいるときはいつも事務所の朝、昼の賄い食をつくっている。どんな料理でも1本の包丁で全て処理している。それが小型洋包丁のぺティナイフである。この包丁は普通、野菜、果物用とされているが、我が小さな事務所の環境はすべて「小」が優先。シンク、ガス台、まな板、食器すべて小形である。本来包丁はその材にあった三徳物、出刃と使い分けるのだろうがなにせ場所がない。
本日、京都の有次の店で長年の夢が実現した。「有次の上、厚打ち15cm大」のぺティナイフを手に入れた。ぺティナイフを使って10年、いよいよその上をいく。以前から有次代表の寺久保さんが京都へ来たら顔出してや!と何回か誘われ、ようやくその機会がかなえられた。
創業が1560年とはすごい。今や日本を代表する包丁の店。店には京都を訪れる外国人がいつもいっぱいで、日本の土産に包丁が人気とのこと。
手に入れたぺティナイフは刃が15cm、刃手は本返し、2つの鋲でキチットしまっている。刃の厚さは刃先で2mm、実に顔が美しい。握るとずっしり手にすいついた。よく板さんがマジックのように果物を手の中でスイスイと皮をむき、あっという間に等分にわけ、きれいに皿に盛る。あのシーンを実現してみたい。
寺久保さんに月1回は研ぐように包丁にお世話をかけてくださいと砥石(2000番)をすすめられた。気に入った包丁を手に入れ、ますます事務所の食事作りに励もうと思った。