【6月号】 夏野菜が不足していた江戸東京野菜に次々復活野菜を追加。
執筆者:auc_shonin
江戸東京野菜が2007年から市場流通に乗るようになってから、野菜や栽培農家に対するマスコミ取材が多くなってきたが、取材依頼が江戸東京野菜の栽培されていない季節に入ることが多かった。
伝統野菜は、季節限定で栽培される季節が決まっている野菜で、揃いが悪いから段ボールにキチンと収まらない。だから現在の流通に乗りづらい野菜だ。
そこへ行くと全国各地で栽培されている交配種は、一年中何処かで栽培されているから、消費地東京のスパーの棚には一年中並んでいる品種も多い。
したがって、ダイコンがスパーに並んでいたからあるだろうと、12月に収穫される練馬ダイコンを夏にないかと訪ねてくる、若いディレクターやライターがいる。
当時、5月以降に収穫される伝統野菜は、6月、7月の馬込半白キュウリと、8月の谷中ショウガ、それ以外は、東京ウドと奥多摩ワサビぐらいで、江戸東京野菜が栽培されていない期間の方が多かったことから、メデイアからの取材協力の依頼があっても、応えることが出来ずにいた。
だから、夏になると、江戸東京野菜の話題は取り上げられない状況で、忘れられてしまう状況にあった。
寺島ナス
それが、2009年6月から、墨田区立第一寺島小学校で「寺島ナス」が復活してからは、様子が変わってきた。
ナスは、日本人が大好きな野菜だから、全国各地に伝統の品種が残っている。しかも東京では5月の末から11月の霜が降るまで収穫できる野菜がラインナップされたわけだ。
古いタイプの寺島ナスは蔓細千成と云い、小振りなナスで、実が緻密で硬いくらい。
ナスの匂いがしっかりして、焼いたり、油で揚げたり、加熱するとトロ味が出て美味しいナスだ。 しかし、美味しいからと摘期を忘れて大きくしてしまうと、ナスの色がボケてしまうと云うナスだ。
こんな美味しいナスが忘れられていたとは、信じられないくらいで、2009年からメディアの取材には、初夏から初秋まで、いつ来ても「寺島ナス」やそれを栽培する学校や生産者が対応してくれた。
これによって、江戸東京野菜の話題は一年中途切れなくなったことで、一挙に江戸東京野菜の情報がメディアにあふれるようになった。
しかし、これで終わっては寂しいので、引き続き新たな復活栽培が取り組まれている。
雑司ヶ谷ナス
初夏から秋に向けては、江東区立砂町小学校で砂村三寸ニンジン、豊島区立千登世橋中学校で雑司ヶ谷ナス、板橋の小学校では同区域の名前が付いた夏ダイコン、志村みの早生ダイコン、大越ウリ、そして、石神井の農家では早稲田ミョウガの復活栽培が行われている。
志村みの早生ダイコン
秋以降に収穫されるものとしては、江東区立第五砂町小学校で「砂村一本ネギ」、荒川区立の小学校では「里帰りした三河島菜」、都立園芸高校では「渡辺早生ゴボウ」の復活栽培が行われる予定だ。
これら復活を果たす江戸東京の伝統野菜は、物語とともに伝えていきたいものだ。
1 江戸東京野菜の関連情報
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2 江戸東京野菜はここで買えます
江戸東京野菜は、江戸からの伝統と季節を味わう野菜で、もちろん地場野菜です。
地方からやってくる季節の先取り野菜より、ずっと個性的です。
(農産物の生育は天候に左右されますので、収穫予定は変わることがあります)
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