<コンビニ創業戦記・附伝>「鈴木貞夫言行録」第24回
2017/06/09
第8章・「中内CEOを偲ぶ」(その3)
<DCVS・ローソン時代>(2)
「阪神大震災と中内CEO」
ローソンが5000店舗を達成して華々しく記念行事を開催した翌年、1995年(平成6年)1月17日午前5時46分、突如、阪神淡路大震災が発生した。
ローソンの対応の経緯については、既に≪「DCVS回想録」(第18回・第19回)≫に詳述しているが、この時の中内CEOは、まさに獅子奮迅の陣頭指揮を摂られたと思う。
ダイエー本体は云うに及ばず、グループ企業の全てが甚大な損害を被っていたからである。
地震発生当初は、通信が途絶して、現地被害の状況把握が困難であったが、次第に壊滅的被害の大きさが明らかとなってゆく。
地震発生当日は、おそらく中内さんは午前中にダイエーの対応方を指示された後、午後一番にローソン本社に来られた。
先ずは、『鈴木さん、すぐ現地へ飛び、オーナーさんたちを、お見舞いして回れ」と指示を出された。
そして「ローソンの灯を消すな」「全国からの応援態勢と商品供給に万全を期せ」と矢継ぎ早に指示を出されたのである。
私はすぐさま自宅へ帰り仕度を整えて、夕方には松岡さん、関口さんなどともに、飛行機で関西支社に入った。
当日車で神戸に入ろうと試みたが叶わず、翌日の夜やっとの思い神戸の事務所に到着する。
私は、被災された店舗を順次訪問して、中内さんのメッセージと共にお見舞い金をお届けするとともに、ひたすら激励することに専念した。
確か中内さん自身、翌日の午後には関西空港経由で神戸に入られたと記憶している。
それからの約二週間ほどは、夜になると中内CEOの下にダイエーグループ主要幹部が集まり、状況報告と打ち合わせを行ったことを思い出す。
当時の中内さんは、時に近寄り難く、まさしく戦場の鬼人のごとき表情を見せられることもあった。無理からぬことであったと思う。
この大震災が、結局は、さしものダイエーグループに,回復困難なダメージを与え、数年後には、ダイエー崩壊の道を辿る契機となったことは否定し得ないところであろう。
「ローソンオーナー・シンポジューム」
DCVS時代は、加盟店オーナーさんを招いての熱気あふれた「オーナー・シンポジューム」に彩られている気がする。
阪神大震災が起きた1995年(平成7年)の緊急事態の年を除いて、ほぼ毎年、ローソンの成長の段階に応じたテーマを持つ「シンポジューム形式の会合」を開催している。
そこには、いつもその中心に中内CEOが居られた。
中内さんは、まるで太陽系における太陽のような存在であった。
DCVSでは、当時、中内CEOは、取締役会のほかには、普段は社内会議などには出席されなかったし、ましてや加盟店オーナーさんたちと公式にお会いする機会はほとんどなかったから、シンポジュームで中内さんにお会いした皆さんの歓喜と感動は、それは大きなものであった。
従って、シンポジュームの進行シナリオは、中内さんを軸に綿密に組み立てられていた。
中内さんは、シンポジュームのホスト役を、自ら卒先して、にこやかに務められていたと思う。
≪「DCVS回想録」(第13回&第14回)≫にも、シンポジュームについて触れているが、ここであらためて、時系列に記録すると次のようになる。
*・1989年(平成元年)11月、東京・大阪・博多・札幌ニューオオタニホテルで開催
「新生ダイエー・コンビニエンスシステムズ発足記念祝賀会」
*・1992年(平成4年)1月、東京・大阪・博多ニューオオタニホテルで開催
「4000店達成記念オーナー・懇親会」
*・1993年(平成5年)4月、博多シーホークホテル&リゾートで開催
「ホークスタウン完成記念オーナー会」
*・1994年(平成6年)5月&9月、ハワイ・ホノルルで開催
「5000店達成記念・オーナー経営セミナー・イン・ハワイ」
*・1996年(平成8年)4月、福岡シーホークホテル&リゾートで開催
「95年度・優秀店舗褒章・オーナー・シンポジューム」
*・1996年(平成8年)10月、福岡シーホークホテル&リゾートで開催
「96年度・オーナー・シンポジューム」
*・1997年(平成9年)6月、福岡シーホーク&リゾートで開催
「97年度オーナー・シンポジューム」
*・1997年(平成9年)7月、那覇・沖縄ハ―ヴァ―ビューホテルで開催
「ローソン・沖縄進出記念感謝の夕べ」(ナショナルチエーン達成記念)
*・2000年(平成12年)11月、福岡ドームで5回にわたり開催
「ローソン株式上場全国オーナー感謝の夕べ」
*・2001年(平成13年)5月、大阪ユニヴァーサルスタジオで開催
「オーナー・シンポジューム・2001」
*・2002年(平成14年)5月、東京ベイホテルで開催
「2002・オーナー・シンポジューム」
これについては、≪「DCVS回想録」第13回≫及び≪『鈴木貞夫言行録』第11回≫に触れており、参照して頂きたい。
(以下次号第25回に続く)
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