健康ニュース 10月15日号 いなかもち・・・?

     

世はまさに健康情報洪水時代と言えるかもしれません。好む好まずにかかわらず、毎日のように週刊誌やテレビ番組で耳目に触れざるを得ない状態です。その一つ一つに一喜一憂していると、健康に役立つという情報にもかかわらず、逆に健康を失ってしまうという、笑うにも笑えない結果となってしまいそうです。

先日、ある会合の懇親会で、TV界OBの方と隣席になり、一献交えたことがありました。その席で昨今のメディア業界から発信される健康情報について意見を伺ったところ、面白いキーワードを教えてくれました。彼が言うにはこのキーワードは、記者として活動する際に徹底的に教育されるそうです。この時の会話も記憶に残っていたのですが、直近の「栄養と料理10月号」にも、同じフレーズが特集として掲載されています。大変興味深いキーワードですのでご紹介します。

そのキーワードは「い・な・か・も・ち」です。

テレビ、週刊誌が伝える報道はもちろん、調べる気があれば個人でもインターネットでもとりあえず様々な情報が得られる時代です。そんな情報過多の時代になっても、情報の信憑性を見極める能力を備えておくことが欠かせません。このような時代だからこそ届いた、選択した情報が信頼できるものであるかを見極めるキーワードが「い・な・か・も・ち」という頭文字で始まるフレーズです。

「い」・・・いつ発信された情報か。情報自体が過去のもので最新のものと雲泥の差がないか。

「な」・・・何のために発表された情報なのか。商品宣伝の類ではないのか。

「か」・・・書いた人、発表した者は誰なのか。匿名情報ではないのか。

「も」・・・元ネタは何か?企業や個人に都合良いネタではないのか。発信元は信用ができ、科学的根拠が説明されているのか。

「ち」・・・違う情報と比較したのか。一つの情報、一冊の書籍、発信者一人の情報ではないのか。ほかの書籍や著者、研究者の発表したものと比較したのか。

この「い・な・か・も・ち」を心しておくことにより、健康情報を正しく選択できるように一歩でも近づいて欲しい、と言っています。これが身について初めて価値もない情報を見極めることができるのでしょうね。そういえば「い・な・か・・も・ち」は読む順番を変えれば「かちもない」⇒「価値もない」となりますね。ちょうど「クスリ(薬)」が、読み順を変えると「リスク」になるのと同じですが・・・。

日本は、表現の自由のもとで、無責任な発表をしても、犯罪性がなければ責任追及をされない社会でもあります。しかし人の健康に直結するということになれば、生死にかかわることも考えたら、報道サイドにはもっと責任ある姿勢が求められてしかるべきでしょう。科学的に立証されたことよりも、話題になったことにすぐ市民が飛びつく今だからこそ、公共の電波などでの発信内容を再考すべきと思います。

一例をあげるならば、TVでのサプリメントの宣伝画面の片隅の「これは個人の体験で効果効能を謳うものではありません」とある文字サイズは、高齢者にも明確に読める大きさにするなど、改善の余地は有り余るほどあると考えます。これらの制限は何も報道の自由に抵触はしないと思いますし、報道の自由を守りたいからこそ、良識を常に堂々と問うべきと思います。